专利摘要:
治療有効量のグルココルチコイドを含有する1種または複数の生分解性薬物デポー剤を、椎間板ヘルニアの大きさを縮小するために椎間板ヘルニアまたはその近傍に局所的に投与することによって、椎間板ヘルニアを治療するための方法および組成物が提供される。なし
公开号:JP2011513337A
申请号:JP2010548947
申请日:2009-04-10
公开日:2011-04-28
发明作者:ウィルシー,ジャレッド・ティー;キング,ヴァンジャ・マルガリータ;ザネラ,ジョン・マイヤーズ
申请人:ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド;メドトロニック,インコーポレイテッド;
IPC主号:A61K45-00
专利说明:

[0001] 本出願は、「生分解性ポリマー担体中のフルオシノロン製剤(Fluocinolone Formulations In A Biodegradable Polymer Carrier)」と題する2008年4月18日出願の米国特許仮出願第61/046218号、および「生体分解性材料中のデキサメタゾン製剤(Dexamethasone Formulations In Biodegra Material)」と題する2008年4月18日出願の米国特許出願第12/105864号に基づく出願日の利益を請求する。ここで、これらのすべての開示は、参照により本開示中に援用する。]
背景技術

[0002] 椎間板ヘルニアは、脊柱の厄介な障害であり、患者に著しい疼痛および筋機能障害を引き起こし、衰弱性である場合がある。椎間板ヘルニアに由来する疼痛は、6カ月間、極めて重症の場合には数年間もの長さにわたって持続する場合がある。]
[0003] 脊柱は、一連の連結された椎骨と呼ばれる骨から構成され、脊髄を囲んで、脊髄を傷害から保護している。神経は、脊髄から分岐し、身体の他の部分に行き渡り、脳と身体の間の情報伝達を可能にしている。脊椎の椎骨は、海綿状の椎間板、および椎間関節と呼ばれる2つの小さな関節によって連結されている。椎間板および椎間関節は、椎骨の間に位置し、一緒になって椎骨の動きを可能にする。]
[0004] 椎間板は、1つの椎骨を次の椎骨に保持する強力な連結組織を構成し、椎骨間のクッションまたはショックアブソーバーとして作用する。椎間板は、線維輪と呼ばれる強靭な外層、および髄核と呼ばれるゲル様中心から構成される。線維輪は、ラメラ、すなわち椎骨終端板に連結されたコラーゲン繊維の同心円状シートから構成される強いラジアルタイヤ様構造体である。線維輪は、ゲル様髄核を閉じ込めている。]
[0005] 椎間板ヘルニアは、突然の背部損傷または椎間板の漸進的な磨耗および断裂(椎間板変性とも呼ばれる)によって引き起こされることがある。人は老いるにつれて、椎間板の中心が、水分を失い始め、クッションとしての椎間板の効果はより小さくなる。椎間板が劣化するにつれて、線維輪が断裂することがある。このことは、髄核が、線維輪中の裂け目を通って神経および脊髄で占められた空間中へ移動することを可能にすることがある。ヘルニア化した椎間板は、次いで、神経を圧迫し(神経挟扼とも呼ばれる)、疼痛、知覚麻痺、刺痛、または四肢の衰弱を引き起こすことがある。]
[0006] 椎間板ヘルニアは、脊柱中の任意の椎間板で発生する可能性があるが、腰椎および頚椎中でのヘルニアが最も一般的である。頚椎中での椎間板ヘルニアは、放散痛、および一般には頸部リゾパチー(rhizopathy)と呼ばれる上肢の筋機能障害を引き起こす可能性がある。一方、腰椎中の椎間板ヘルニアは、放散痛、および一般には坐骨神経痛と呼ばれる下肢の筋機能障害を誘導する可能性がある。]
[0007] 椎間板ヘルニアの治療には、ステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの抗炎症薬療法、物理療法、行動修正、椎間板内電気温熱療法(IDET)、および手術などが含まれる。手術は、開放手術、または極めて小さな開放切開を使用するミニ開放手術のいずれかとして、あるいは特別に設計された器具およびX線撮影技術を使用して経皮的に実施することができる。]
[0008] 椎間板輪のヘルニア部分を除去して脊髄神経への圧迫を軽減するために、ヘルニア化した椎間板を外科的に治療すると、輪の完全性が危うくなる。このことは、再ヘルニア化するか、あるいは、よりおそらくは、髄核を椎間板の核から線維輪の弱化した帯域を通って、椎間板を取り巻き椎間板に隣接する神経複合体上に漏出する可能性のある線維輪をもたらすことが多い。髄核は、曝露された神経複合体の周辺に高度の炎症応答を生じさせ、持続性の椎間板起因性疼痛を引き起こす。この現象は、時には誘導性漏出性椎間板症候群と呼ばれ、椎間板輪のヘルニア部分を除去する処置に関する一般的な副作用である。]
発明が解決しようとする課題

[0009] 椎間板ヘルニア、およびこの衰弱性状態に付随する疼痛および/または炎症を治療するための新規な組成物および方法が、依然として求められている。髄核吸収を高めることによって椎間板ヘルニアの大きさを縮小する新規な組成物および方法は最も有益である。]
課題を解決するための手段

[0010] 椎間板ヘルニアを効果的に縮小、予防、または治療する新規な組成物および方法が提供される。各種実施形態において、単一の薬物デポー剤または複数の薬物デポー剤でヘルニアの大きさを縮小する、グルココルチコイド組成物および方法が提供される。患者への身体的および心理的トラウマを最小にして、グルココルチコイドを含有する薬物デポー剤の正確で精密な埋込みを容易に可能にすることのできる新規なグルココルチコイド組成物および方法が提供される。グルココルチコイドの薬物デポー剤組成物および方法の1つの利点は、今日、該薬物デポー剤を標的組織部位(例えば、髄核または脊柱の近傍など)に容易に送達することができ、かつ該薬物デポー剤により椎間板ヘルニアを縮小、予防または治療できることである。かくして、椎間板ヘルニアを治療するために、侵襲性が最小である処置で薬物デポー剤の正確で精密な埋込みを完遂することができる。]
[0011] 一実施形態において、そのような治療を必要とする患者における椎間板ヘルニアの治療方法が提供され、該方法は、治療有効量のグルココルチコイドを含む1種または複数の生分解性薬物デポー剤を椎間板ヘルニアまたはその近傍に投与することを含み、ここで、該1種または複数の生分解性薬物デポー剤は、有効量のグルココルチコイドを少なくとも3日間〜6カ月間にわたって放出する能力がある。若干の実施形態において、グルココルチコイドは、薬物デポー剤から約6週間〜約3カ月間放出されることができる。]
[0012] 別の実施形態では、そのような治療を必要とする患者の椎間板ヘルニアを治療するのに有用な埋込み可能な薬物デポー剤が提供され、該埋込み可能な薬物デポー剤は、治療有効量のグルココルチコイドを含み、該デポー剤は、椎間板ヘルニアまたはその近傍に埋込み可能であり、ここで、該薬物デポー剤は、約0.5重量%〜約40重量%のグルココルチコイドが添加され、有効量のグルココルチコイドを少なくとも3日間〜8週間にわたって放出する能力がある。]
[0013] さらに別の実施形態において、患者における椎間板ヘルニアの大きさを縮小する方法が提供され、該方法は、フルオシノロンを含む1種または複数の生分解性薬物デポー剤を、椎間板ヘルニアまたはその近傍に投与することを含み、ここで、該1種または複数の生分解性薬物デポー剤は、フルオシノロンを少なくとも3日間〜2カ月間にわたって放出し、椎間板ヘルニアの大きさを少なくとも50%ほど縮小する能力がある。]
[0014] 各種実施形態のさらなる特徴および利点は、一部は以下に続く説明中に示され、一部は該説明から明らかであり、あるいは各種実施形態の実施によって学ぶことができるであろう。各種実施形態の目的およびその他の利点は、説明および添付の特許請求の範囲中で詳細に指摘される要素および組合せによって現実化され、達成されるであろう。]
[0015] 実施形態のその他の態様、特徴、利益および利点は、ある程度、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および付随図面に注目することによって明らかであろう。]
図面の簡単な説明

[0016] 図1Aは、破裂はしていない椎間板ヘルニアである標的組織部位の断面図である。図1Bは、破裂してしまった椎間板ヘルニアである標的組織部位の断面図である。
図2は、糸(例えば、縫合糸、撚り糸など)で薬物デポー剤に結び付けられたアンカーを有する埋込み可能な薬物デポー剤の一実施形態を例示する断面図であり、薬物デポー剤は輪を有する椎間板中に投与されている。
図3は、3治療群(1つの群は、髄核から1.5cmに配置された、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)中にフルオシノロンを含有する薬物デポー剤を使用;1つの群は、髄核から0cmに配置された、PLGA中にフルオシノロンを含有する薬物デポー剤を使用;第3群は、対照ペレットを使用)に分けられた複数のラットに移植され、また、取り出された髄核の重量%を図示する棒グラフである。フルオシノロンは、特に髄核のすぐ隣に配置された場合に、髄核の吸収を高めた。
図4は、インビトロでのフルオシノロンデポー剤の60日間にわたる累積放出%のグラフ表示、および薬物デポー剤から1日に放出されるフルオシノロン量(μg)のグラフ表示である。] 図1A 図1B 図2 図3 図4
[0017] 図は、尺度で測ったように描かれていないことを理解されたい。さらに、図中での物体間の関係は、尺度で測られていない可能性があり、かつ実際に、大きさに関して逆の関係を有することもある。図は、示した各物体の構造に関する理解および明瞭性をもたらすことを意図するものであり、したがって、構造の特定の特徴を図示するために、いくつかの特徴を誇張している可能性もある。]
[0018] 本明細書および添付の特許請求の範囲の目的に関して、別途指定しない限り、成分量、材料のパーセントまたは比率、反応条件を表現するすべての数字、ならびに本明細書および特許請求の範囲中で使用されるその他の数値は、すべての事例において、用語「約」によって修飾されるものと理解されたい。したがって、そうでないことを指定しない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲中に示される数字パラメーターは、本発明によって得られることを求められる所望の特性に応じて変更できる概数である。最低限、そして特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定するための試みとしてではなく、各数字パラメーターは、少なくとも、報告された意味のある桁数を考慮し、かつ通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。]
[0019] 本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメーターは概数であるが、具体的実施例中に示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、すべての数値は、それらのそれぞれの試験測定値中に見出される標準偏差に必然的に由来するいくらかの誤差を本質的に含む。さらに、本明細書中で開示されるすべての範囲は、その中に含まれる任意のおよびすべての下位範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、最小値の1と最大値の10との間(およびその両端を含む)の任意のおよびすべての下位範囲、すなわち、1に等しいまたは1を超える最小値と、10に等しいまたは10未満の最大値とを有する任意のおよびすべての下位範囲、例えば、5.5〜10を包含する。]
[0020] 本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、明白かつ疑念の余地なく1つの指示物に限定しない限り、複数の指示物を包含する。したがって、例えば、「薬物デポー剤」に対する言及は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の薬物デポー剤を包含する。]
[0021] これより、本発明のいくつかの実施形態について詳細に言及し、その例を付随の図面中に示す。本発明は、例示の実施形態に関連させて説明されるが、それらの実施形態は、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図しないことを理解されたい。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲内に含めることのできる、すべての代替形態、修正形態、および等価形態を包含すると解釈される。]
[0022] 後記の標題は、いずれにしても本開示を限定することを意味せず、1つの任意標題下の実施形態は、他の任意標題下の実施形態と関連させて使用できる。
椎間板ヘルニアを効果的に縮小、予防、または治療する新規な組成物および方法が提供される。各種実施形態において、単一の薬物デポー剤または複数の薬物デポー剤でヘルニアの大きさを縮小するグルココルチコイド組成物および方法が提供される。患者への最小の身体的および心理的トラウマで、グルココルチコイドを含有する薬物デポー剤の正確で精密な埋込みを容易に可能にすることのできる新規なグルココルチコイド組成物および方法が提供される。グルココルチコイド薬物デポー組成物および方法の1つの利点は、今や該薬物デポー剤を標的組織部位(例えば、髄核または脊柱の近傍など)に容易に送達することができ、かつ該薬物デポー剤が、椎間板ヘルニアを縮小、予防または治療できることである。かくして、椎間板ヘルニアを治療するために、最小の侵襲性処置で、正確で精密な薬物デポー剤の埋込みを完遂することができる。]
[0023] 一実施形態では、そのような治療を必要とする患者における椎間板ヘルニアの治療方法が提供され、該方法は、治療有効量のグルココルチコイドを含有する1種または複数の生分解性薬物デポー剤を椎間板ヘルニアまたはその近傍に投与することを含み、ここで、該1種または複数の生分解性薬物デポー剤は、有効量のグルココルチコイドを少なくとも3日間〜6カ月間にわたって放出する能力がある。]
[0024] 別の実施形態において、有効量のフルオシノロンまたはデキサメタゾン、あるいはその薬学的に許容される塩を少なくとも1週間〜6週間にわたって放出する1種または複数の薬物デポー剤を利用して、椎間板ヘルニアを縮小、予防または阻止する方法が提供される。
グルココルチコイド
薬物デポー剤中には、グルココルチコイドが含められる。薬物デポー剤は、所望部位(例えば、患者の椎間板空間、脊柱管、椎間板ヘルニアなど)中での薬物の維持性放出を容易にするための物理的構造を含む。薬物デポー剤は、また、薬物を含む。用語「薬物」は、本明細書中で使用する場合、一般には、患者の生理機能を変える任意の物質を指すことを意味する。用語「薬物」は、本明細書中で、用語「治療薬」、「治療有効量」、および「活性な医薬成分」または「API」と互換的に使用できる。「薬物」製剤は、1種を超える治療薬を含むことができ、ここで、治療薬の典型的な組合せには、2種またはそれ以上の薬物の組合せが含まれることを理解されたい。薬物デポー剤は、部位に送達するために、デポー剤の周囲に治療薬の濃度勾配を具備する。各種実施形態において、薬物デポー剤は、埋込み部位から約0.1cm〜約5cmまでの距離に治療薬の最適な薬物濃度勾配を提供する。]
[0025] 「治療有効量」、または「有効量」は、投与された場合に、該薬物が、例えば、炎症阻止、疼痛の低減または緩和、状態の低減または改善などの生物学的活性の変更をもたらすような量である。各種実施形態において、グルココルチコイドの治療有効量は、椎間板ヘルニアを予防、縮小または治療する量である。]
[0026] 若干の実施形態において、グルココルチコイドの投与は、100μg/kg/日を超えない低投与量で局所的に投与できる。若干の実施形態において、投与量範囲は、約100μg/kg/日〜約1pg/kg/日でよい。若干の実施形態において、グルココルチコイドは、約50μg/kg/日〜約100pg/kg/日、または約30μg/kg/日〜約500pg/kg/日の投与量で投与できる。患者に投与される投与量は、投与される薬物の薬物動態学的特性、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、体格)、症状の程度、併用治療、治療頻度、および所望される効果を含む各種因子に応じて、単一のデポー剤または複数のデポー剤として存在できることを理解されたい。]
[0027] グルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体と結合する能力によって特徴付けられる部類のステロイドである。グルココルチコイドは、広帯域の抗炎症および免疫抑制効果を有する。それらは、白血球の移動を阻害すること;白血球、線維芽細胞、および内皮細胞の機能を妨害すること;およびインターロイキン−6を含む炎症性サイトカインの合成および作用を抑制することによって作用する。グルココルチコイドは、グルコースの代謝に影響を及ぼす。本明細書中で使用されるグルココルチコイドは、少なくとも若干のグルココルチコイド活性を有し、任意選択で若干のミネラルコルチコイド活性を有することができる。]
[0028] 本明細書中で使用する場合、「グルココルチコイド」は、グルココルチコイドまたはその薬学的に許容される塩;グルココルチコイドの薬理学的活性誘導体またはグルココルチコイドの活性代謝産物を包含する。本明細書中で使用する場合、薬学的に許容される塩は、開示される化合物(例えば、エステルまたはアミン)の誘導体を指し、ここで、親化合物は、その酸性または塩基性塩を調製することによって改変できる。薬学的に許容される塩の例には、これらには限定されないが、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩が含まれる。薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機または有機酸から形成される、親化合物の通常の非毒性塩または第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような通常の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、または硝酸などの無機酸から誘導される塩;あるいは酢酸、フロ酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製される塩が含まれる。薬学的に許容されるものには、また、グルココルチコイドのラセミ混合物((+)−Rおよび(−)−Sエナンチオマー)あるいは右旋性および左旋性異性体のそれぞれが個別的に含まれる。グルココルチコイドは、遊離の酸もしくは塩基の形態でもよく、または長期作用性活性のためにペグ化されていてもよい。若干の実施形態において、グルココルチコイドは、ステアリン酸エステルの形態である。]
[0029] 適切なグルココルチコイドには、これらには限定されないが、アルコメタゾン、アルドステロンアムシノニド、21−アセトキシプレグネノロン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチバゾール、クロロプレドニゾン、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコルト、デオキシコルチコステロン、デゾニド、デスオキシコルトン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン二ナトリウム塩、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニドまたはステアレート、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンアセポネート、ヒドロコルチゾンブテプレート、酪酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、モメタゾンフロエート、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポネート、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、ウロベタゾール、またはこれらの薬学的に許容される塩もしくはエステルもしくはアミン、ならびにこれらの組合せが含まれる。]
[0030] グルココルチコイドは、ミネラルコルチコイドおよび性ステロイドから、それらの特異的受容体、標的細胞、および効果によって区別される。例えば、一方で、ミネラルコルチコイドは、それらの効果を腎臓で発揮し、尿における過剰なカリウムの選択的排泄ならびに同時にナトリウムの保存および/または貯留を引き起こす。他方で、女性ホルモンであるエストロゲンおよびプロゲステロン、ならびに男性ホルモンであるテストステロンなどの性ステロイドは、雄性/雌性の発達のために使用される。]
[0031] 椎間板ヘルニアを予防、縮小または治療するための典型的な一実施形態において、グルココルチコイドは、フルオシノロンまたはその薬学的に許容される塩を含む。潜在的な薬学的に許容される塩の若干の例には、化合物の毒性を実質的に増大させない、塩形成性のある酸および塩基との塩、例えば、マグネシウム、カリウムなどのアルカリ金属およびアンモニウムの塩、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの無機酸の塩、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)などの有機酸の塩が含まれる。フルオシノロンの塩が、哺乳動物への安全な投与のために創製され得る限りにおいて、それらの塩は、本出願の範囲に包含される。さらに、フルオロシノロンに言及する場合、活性成分は、塩形態だけではなく、基本形態(例えば、遊離酸)、アミン、エステル、またはラセミ形、あるいはそれらの組合せでよい。
フルオロシノロン
フルオシノロンは、いくつかの医薬製造業者から入手できる。各種実施形態において、フルオシノロンは、フルオシノロンアセトニドを含む。フルオシノロンの投与量は、およそ0.0005〜およそ100μg/kg/日でよい。フルオシノロンのさらなる投与量としては、およそ0.0005〜およそ95μg/kg/日、およそ0.0005〜およそ90μg/kg/日、およそ0.0005〜およそ85μg/kg/日、およそ0.0005〜およそ80μg/kg/日、およそ0.0005〜およそ75μg/kg/日、およそ0.001〜およそ70μg/kg/日、およそ0.001〜およそ65μg/kg/日、およそ0.001〜およそ60μg/kg/日、およそ0.001〜およそ55μg/kg/日、およそ0.001〜およそ50μg/kg/日、およそ0.001〜およそ45μg/kg/日、およそ0.001〜およそ40μg/kg/日、およそ0.001〜およそ35μg/kg/日、およそ0.0025〜およそ30μg/kg/日、およそ0.0025〜およそ25μg/kg/日、およそ0.0025〜およそ20μg/kg/日、およびおよそ0.0025〜およそ15μg/kg/日が挙げられる。別の実施形態において、フルオシノロンの投与量は、およそ0.005〜およそ15μg/kg/日である。別の実施形態において、フルオシノロンの投与量は、およそ0.005〜およそ10μg/kg/日である。別の実施形態において、フルオシノロンの投与量は、およそ0.005〜およそ5μg/kg/日である。別の実施形態において、フルオシノロンの投与量は、およそ0.005〜2.5μg/kg/日である。若干の実施形態において、フルオシノロンの量は、0.001〜600μg/日である。若干の実施形態において、フルオシノロンの量は、0.0025〜400μg/日である。若干の実施形態において、1種または複数の薬物デポー剤中のフルオシノロン添加量は、0.5wt%〜20wt%でよい。]
[0032] 若干の実施形態では、フルオシノロンを、デポー剤から、約10pg〜約10mg/時間、約100pg〜約1mg/時間、約1ng〜約100μg/時間、約10ng〜約10μg/時間、約100ng〜約1μg/時間、または約500μg/時間の投与量で放出させることができる。各種実施形態において、投与量は、約10pg〜約10mg/日、または約100pg〜約0.02μg/日のパルス投与でよい。]
[0033] 図4は、1%のフルオシノロンを含有する薬物デポー剤に関するインビトロでの%累積放出プロフィールのグラフ表示である。薬物デポー剤は、60日間にわたって0.0025〜約0.0125μg/日で溶出し、60日間で薬物デポー剤中に添加されたフルオシノロンの少なくとも40%を放出する。本出願で使用するのに適したフルオシノロンデポー剤は、「生分解性ポリマー担体中のフルオシノロン製剤(Fluocinolone Formulations In A Biodegradable Polymer Carrier)」と題する2008年4月18日出願の米国特許仮出願第61/046218号中に記載されている。
デキサメタゾン
椎間板ヘルニアを予防、縮小または治療するための典型的な一実施形態において、グルココルチコイドは、デキサメタゾンを含む。デキサメタゾンについて言及する場合、別途に指定せず、あるいは文脈から明らかでない限り、本発明者らは、薬学的に許容される塩についても言及していると解釈される。潜在的に薬学的に許容される塩の若干の例には、化合物の毒性を実質的に増大させない塩形成性の酸および塩基の塩、例えば、マグネシウム、カリウムなどのアルカリ金属およびアンモニウムの塩、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの無機酸の塩、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)などの有機酸の塩が含まれる。デキサメタゾンの塩が、哺乳動物への安全な投与のために創製され得る限りにおいて、それらの塩は、本出願の範囲に包含される。デキサメタゾンについて言及する場合、特記しない限り、本明細書は、酢酸デキサメタゾンおよび/またはリン酸デキサメタゾンナトリウムも包含する。] 図4
[0034] さらに、デキサメタゾンについて言及する場合、活性成分は、塩形態でだけではなく基本形態(例えば、遊離の酸)であってもよい。各種実施形態において、活性成分が酸形態であるなら、その活性成分を、PLGAまたはPLAを用いて行なわれる可能性のある熱または溶媒加工処理で観察されることがあるようなひどいポリマー分解の存在しない条件下でポリマーと組み合わせることができる。各種実施形態において、薬物デポー剤は、約5wt%〜約20wt%の酢酸デキサメタゾンを含有し、ポリマーは、75/25または85/25のPLGA、POE、またはSAIBを、mPEGを含めてまたは含めず含有する。]
[0035] デキサメタゾンは、いくつかの製造業者から入手できる。各種実施形態において、デキサメタゾンは、デポー剤から、約10pg〜約10mg/時間、約100pg〜約1mg/時間、約1ng〜約100μg/時間、約10ng〜約10μg/時間、約100ng〜約1μg/時間、または500μg/時間の投与量で放出させることができる。各種実施形態において、投与量は、約0.01〜約10mg/kg/日、または約1mg〜約120mg/日でよい。本出願で使用するのに適したデキサメタゾンデポー剤は、「生分解性材料中のデキサメタゾン製剤(Dexamethasone Formulations In A Biodegradable Material)」と題する2008年4月18日出願の米国特許出願第12/105864号中に記載されている。]
[0036] グルココルチコイドに加えて、薬物デポー剤は、1種または複数のさらなる治療薬を含有することができる。治療薬の例には、TNF−αおよびIL−1などの炎症促進性サイトカインの直接−および局所作用性モジュレーターである薬剤、例えば、これらには限定されないが、可溶性腫瘍壊死因子α受容体、任意のペグ化された可溶性腫瘍壊死因子α受容体、モノクロナールもしくはポリクロナール抗体または抗体フラグメント、あるいはこれらの組合せが含まれる。適切な治療薬の例には、受容体拮抗薬(標的分子への結合に関して受容体と競合する分子)、アンチセンスポリヌクテオチド、および標的タンパク質をコードするDNAの転写阻害薬が含まれる。適切な例には、これらには限定されないが、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ペグスネルセプト(PEGsTNF−R1)、sTNF−R1、CDP−870、CDP−571、CNI−1493、RDP58、ISIS 104838、1→3−β−D−グルカン、レネルセプト、PEG−sTNFRIIFcムテイン、D2E7、アフェリモマブ、およびこれらの組合せが含まれる。他の実施形態において、治療薬には、メタロプロテアーゼ阻害薬、グルタミン酸拮抗薬、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、B2受容体拮抗薬、カプサイシンおよびシバミドなどのサブスタンスP受容体(NK1)拮抗薬、下流調節エレメント拮抗性モジュレーター(DREAM)、iNOS、テトロドトキシン(TTX)抵抗性Na+チャネル受容体サブタイプPN3およびSNS2の阻害薬、インターロイキン(IL−1、IL−6およびIL−8、ならびに抗炎症性サイトカインなど)の阻害薬、TNF結合タンパク質、オネルセプト(r−hTBP−1)、阻害因子、賦活因子、増強因子または中和因子をコードする組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター、これらには限定されないが天然に存在するまたは合成の二重鎖、単鎖を含む抗生物質またはそのフラグメントが含まれる。例えば、適切な治療薬には、単鎖抗体をベースにし、Nanobodies(商標)(Ablynx社、Ghent、ベルギー)と呼ばれ、天然に存在する単一ドメイン抗体の最も小さな機能性フラグメントと規定される分子が含まれる。別法として、治療薬には、キナーゼに影響を及ぼし、かつ/または細胞シグナルを伝達するマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、p38MAPK、Src、またはタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)を阻害する薬剤が含まれる。治療薬には、例えば、グリーベック、ハーセプチン、イレッサ、イマチニブ(STI571)、ハービマイシンA、チルホスチン47、エルブスタチン、ゲニステイン、スタウロスポリン、PD98059、SB203580、CNI−1493、VX−50/702(Vertex社/Kissei社)、SB203580、BIRB796(Boehringer Ingelheim社)、Glaxo P38MAPキナーゼ阻害薬、RWJ67657(J&J)、UO126、Gd、SCIO−469(Scios社)、RO3201195(Roche社)、セミピモド(Semipimod)(Cytokine PharmaSciences社)、またはこれらの誘導体が含まれる。]
[0037] 治療薬は、各種実施形態において、炎症カスケードにおけるTNF−αまたはその他のタンパク質の転写または翻訳を遮断する。適切な治療薬には、これらには限定されないが、インテグリン拮抗薬、α−4−β−7−インテグリン拮抗薬、細胞接着阻害薬、インターフェロンγ拮抗薬、CTLA4−Ig作用薬/拮抗薬(BMS−188667)、CD−40リガンド拮抗薬、ヒト化抗IL−6mAb(MRA、トシリズマブ、中外)、HMGB−1mAb(Critical Therapeutics社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリキシマブ)、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、またはHuMax IL−15(抗IL15抗体)が含まれる。]
[0038] その他の適切な治療薬には、ヒトインターロイキン−1受容体拮抗薬(IL−1Ra)の組換え非グリコシル化形態であるキネレット(登録商標)(アナキンラ)などのIL−1阻害薬、またはIL−1の作用を遮断するモノクロナール抗体であるAMG108が含まれる。治療薬には、また、グルタミン酸およびアスパラギン酸などの興奮性アミノ酸、NMDA受容体、AMPA受容体、および/またはカイニン酸受容体に結合するグルタミン酸の拮抗薬または阻害薬が含まれる。例えば、インターロイキン−1受容体拮抗薬、サリドマイド(TNF−α放出阻害薬)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF−α産生を低減する)、骨形成タンパク質(BMP)2型およびBMP−4(カスパーゼ8阻害薬、TNF−α活性化因子)、キナプリル(TNF−αを上向き調節する、アンジオテンシンII阻害薬)、IL−11などのインターフェロン(TNF−α受容体発現を調節する)、およびアウリントリカルボン酸(TNF−αを阻害する)も、炎症を低減するための治療薬として有用である可能性がある。所望なら、上記薬剤のペグ化形態を使用できると考えられる。その他の治療薬の例には、クロニジンなどのNFκB阻害薬;ジチオカルバメートなどの抗酸化薬、および例えばブピバカインまたはスルファサラジンなどのその他の化合物が含まれる。]
[0039] 使用するのに適した治療薬の具体例には、これらには限定されないが、抗炎症薬、鎮痛薬、または骨誘導増殖因子、あるいはこれらの組合せが含まれる。抗炎症薬には、これらには限定されないが、サリチレート、ジフニサル、スルファサラジン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトロラク、ナプロキセン、トルメチン、ジクロフェナク、ケトプロフェン、フェナメート(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、メロキシカム)、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパゾン、スリンダク、またはテポキサリン;ジチオカルバメートなどの抗酸化薬、またはスルファサラジン[2−ヒドロキシ−5−[4−[C2−ピリジニルアミノ]スルホニル]アゾ]安息香酸」などのその他の化合物、あるいはこれらの組合せが含まれる。]
[0040] 適切なタンパク質同化増殖または抗異化増殖因子には、これらには限定されないが、骨形成タンパク質、増殖分化因子、LIM石灰化タンパク質、CDMPまたは前駆細胞、あるいはこれらの組合せが含まれる。]
[0041] 適切な鎮痛薬には、これらには限定されないが、アセトアミノフェン、リドカイン、ブピビカイン、オピオイド系鎮痛薬、例えば、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロモラミド、デゾシン、デキストロプロポキシフェン、ジアモルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ケトベミドン、レボメタジル、メピリジン、メタドン、モルフィン、ナルブフィン、アヘン、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、チリジン、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン、エプタゾシン、フルピルチン、またはこれらの組合せが含まれる。]
[0042] 鎮痛薬には、また、鎮痛特性をもつ薬剤、例えば、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、クロニジン、またはこれらの組合せが含まれる。
デポー剤は、筋弛緩剤を含むことができる。典型的な筋弛緩剤には、例を挙げれば、これらには限定されないが、塩化アルクロニウム、ベシル酸アトラクリウム、バクロフェン、カルボロニウム(carbolonium)、カリソプロドール、カルバミン酸クロルフェネシン、シクロベンザプリン、ダントロレン、臭化デカメトニウム、ファザジニウム、ガラミントリエチオダイド、ヘキサフルオレニウム、メラドラジン、メフェネシン、メタキサロン、メトカルバモール、ヨウ化メトクリン、パンクロニウム、メシル酸ピリジノール、スチラメート、スキサメトニウム、スキセトニウム、チオコルチコシド、チザンジン、トルペリゾン、ツボクラリン、ベクロニウム、またはこれらの組合せが含まれる。]
[0043] デポー剤は、治療薬または治療薬群を含有し、その他の非活性成分または賦形剤を含有することもできる。デポー剤は、治療薬(群)を運搬する、安定化する、その放出を制御することを含む多機能の目的を有する。制御放出の方法は、例えば、溶液拡散機構によるものでよく、あるいは浸食制御法によっても管理できる。典型的には、デポー剤は、生分解性であってよい生体適合性材料から構成される固体または半固体の製剤である。用語「固体」は、堅い材料を意味すると解釈され、一方、「半固体」は、ある程度の柔軟性を有し、それによって、デポー剤が曲がって取り囲む組織の要件に適合することを可能にする材料を意味すると解釈される。賦形剤の若干の例には、例えば、mPEG(メトキシポリエチレングリコール)、ソルビトール、D−ソルビトール、マルトデキストリン、シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、またはこれらの組合せが含まれる。賦形剤は、0.5%〜50%の重量比率で添加することができる。]
[0044] 各種実施形態において、デポー剤の材料は、組織部位内で、計画した薬物送達期間に等しい期間(生分解性成分について)またはそれを超える期間(非生分解性成分について)耐久性がある。例えば、デポー剤の材料は、体温に近いか、またはそれより高いが、治療薬の変質または分解温度より低い、融点またはガラス転移温度を有することができる。しかし、デポー剤材料の所定の侵食は、また、添加された治療薬(群)の徐放出を提供するのに利用できる。]
[0045] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、インビボでの埋込み後に特定のトリガー点(例えば、温度、pHなど)に到達したときに、グルココルチコイドを放出するように設計できる。例えば、薬物デポー剤は、特に、薬物がグルココルチコイドのように解熱特性をもつなら、例えば39℃(102°F)を超える体温に達したときに、より多くの薬物を放出するポリマーを含有することができる。各種実施形態において、埋込み部位に応じて、薬物デポー剤は、特定のpHに到達したときに、多かれ少なかれ、薬物を放出することができる。例えば、薬物デポー剤は、特定のpHを有する体液が薬物デポー剤に接触するにつれて、薬物を放出するように設計することができる(CSF(髄液)は約7.35〜約7.70のpHを有し、血液は約7.35〜約7.45のpHを有する、等々)。]
[0046] 各種実施形態において、デポー剤は、グルココルチコイドおよび/またはその他の治療薬が、該デポー剤の約20〜99wt%、または20〜95wt%、またはデポー剤の50〜95wt%を構成するような、高い薬物添加量を有することができる。各種実施形態において、グルココルチコイドおよび/またはその他の治療薬の量は、デポー剤中に、該デポー剤の約0.1重量%〜約40重量%(0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、およびこれらの任意の2点間範囲、例えば、0.1〜10%、10〜20%、および20〜30%などを含む)の範囲で存在する。各種実施形態において、グルココルチコイドは、薬剤デポー剤中に0.5〜20%の範囲で添加できる。]
[0047] 典型的な一実施形態では、フルオシノロンの添加量を1%〜20%とし、100DL、85/15PLGAまたはDL−PLAまたはDL−PLA、50/50PLGA混合物を、約10〜99%の量で添加できる。]
[0048] 若干の実施形態において、フルオシノロンおよびポリマーを含有し、そのポリマーが、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−グリコリド−ε−カプロラクトン、またはこれらの組合せを含む、薬物デポー剤が存在する。]
[0049] 典型的な一実施形態では、デキサメタゾン塩基または酢酸塩の添加量を5%〜20%とし、85/15PLGAもしくは75/25PLGA、またはPOE、またはSAIBを、約10%〜98%の量で添加することができる。当業者が認識するように、異なる末端基をもつポリマーのブレンドを含む埋込み可能な弾性デポー剤組成物を使用すると、得られる製剤は、より小さな破裂指数および調節された送達持続期間を有する。例えば、酸(例えば、カルボン酸)およびエステル末端基(例えば、ラウリル、メチル、またはエチルエステル末端基)をもつポリマーを使用できる。]
[0050] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、椎間板ヘルニアを縮小、予防または治療するために、全部で少なくとも1日〜6カ月間、1週〜8週間、または2週〜6週間の間、およそ0.005〜およそ10μg/kg/日のグルココルチコイドを放出することができる。]
[0051] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、椎間板ヘルニアを縮小、予防または治療するために椎間ヘルニアまたはその近傍に薬物デポー剤を投与した後に、3日〜6カ月間、または1週〜6週間にわたって、グルココルチコイドの5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%を放出する。薬物デポー剤は、一定の単位時間の間に放出される1週間、10日間の活性成分の割合(%)、例えば、μg/時間、mg/時間、μg/日、mg/日、10%/日などを指す「放出速度プロフィール」を有することができる。当業者は、放出速度プロフィールが、直線であってもよいが、直線である必要はなく、継続的なパルス投与でもよいことを認識している。]
[0052] 若干の実施形態において、薬物デポー剤は、生分解性でなくてもよい。例えば、薬物デポー剤は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性のエラストマー性オレフィン、コポリエステル、およびスチレン系熱可塑性エラストマー、鋼鉄、アルミニウム、ステンレススチール、チタン、高い非鉄金属含有量および低い相対鉄比率を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミック、またはこれらの組合せを含有することができる。典型的には、これらの部類の薬物デポー剤は、ある時間後に除去することを必要とする可能性がある。]
[0053] 若干の事例では、使用後に薬物デポー剤を取り出す必要性を回避することが望ましいことがある。それらの事例において、デポー剤は、生分解性材料を含むことができる。この目的に使用することができ、かつ標的組織またはその近傍に配置された場合に、長い期間にわたって分解または崩壊することのできる特性を有する多くの材料が存在する。生分解性材料の化学機能として、分解過程の機構は、本質的に加水分解性または酵素性、あるいはその双方であることができる。各種実施形態において、分解は、表面で起こるか(不均一または表面侵食)、あるいは薬物送達システムであるデポー剤のいたるところで均一に起こり得る(均一またはバルク侵食)。]
[0054] デポー剤には、これらには限定されないが、カプセル、微小球、微粒子、マイクロカプセル、ミクロ繊維粒子、ナノ球、ナノ粒子、被覆、マトリックス、ウェハ、ピル、ペレット、エマルジョン、リポソーム、ミセル、ゲル、またはその他の医薬送達用組成物が含まれる。薬物デポー剤は、医薬を保持し、かつ投与するポンプを備えることができる。若干の実施形態において、薬物デポー剤は、該デポー剤からの薬物の放出を可能にする細孔を有する。薬物デポー剤は、デポー剤中で体液が薬物を追い出すことを可能にする。しかし、デポー剤への細胞侵入は、デポー剤の細孔の大きさによって防止される。かくして、若干の実施形態において、デポー剤は、組織の足場として機能すべきでなく、かつ組織の増殖を可能にすべきでない。むしろ、薬物デポー剤は、薬物送達のためにのみ利用される。若干の実施形態において、薬物デポー剤中の細孔は、250ミクロン未満〜500ミクロンである。この細孔径は、細胞が薬物デポー剤に侵入し、足場細胞を構築することを防止する。したがって、この実施形態では、体液が薬物デポー剤に侵入するにつれて、薬物が、薬物デポー剤から溶出するが、細胞は、侵入を妨害される。細孔が全くまたはほとんど存在しない若干の実施形態において、薬物は、酵素作用によって、加水分解作用によって、および/または人体中のその他類似の機構によって、薬物デポー剤から溶出する。]
[0055] デポー剤に適した材料は、理想的には、好ましくはFDAで承認されている薬学的に許容される生分解性および/もしくは生体吸収性材料、またはGRAS材料である。これらの材料は、ポリマー性または非ポリマー性、および合成または天然に存在する材料、あるいはこれらの組合せでよい。]
[0056] 用語「生分解性」は、薬物デポー剤の全部または部分が、時間とともに、酵素作用によって、加水分解作用によって、および/または人体中のその他の類似の機構によって分解することを包含する。各種実施形態において、「生分解性」は、デポー剤(例えば、微粒子、微小球、ゲルなど)が、治療薬が放出された後または放出されている間に、体内で、非毒性成分に崩壊または分解することができることを包含する。「生体侵食性」とは、デポー剤および/またはゲルが、時間経過とともに少なくとも部分的に、侵食されるか、あるいは分解して、周囲の組織、体液中に見出される物質と、または細胞作用によって接触することを意味する。「生体吸収性」とは、デポー剤が、人体内で崩壊され、かつ、例えば細胞または組織によって吸収されることを意味する。「生体適合性」は、デポー剤が、標的組織部位において実質的な組織刺激またはネクローシスを引き起こさないことを意味する。]
[0057] 各種実施形態において、デポー剤は、薬物の即時放出、持続放出、または制御放出を提供することができる、生体吸収性、生体侵食性および/または生分解性バイオポリマーを含むことができる。適切な持続放出性バイオポリマーの例には、これらには限定されないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG550、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1450、PEG3350、PEG4500、PEG8000、ポリ(α−ヒドロキシ酸)の複合体、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、デンプン、α化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、ビタミンE類似体(酢酸α−トコフェリル、コハク酸d−α−トコフェリルなど)、D,L−ラクチドまたはL−ラクチド、−カプロラクトン、D,L−ラクチド−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−グルコリド−ε−カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBTコポリマー(Polyactive)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(Pluronics)、PEO−PPO−PAAコポリマー、PLGA−PEO−PLGA、PEG−PLG、PLA−PLGA、ポロキサマー407、PEG−PLGA−PEGトリブロックコポリマー、SAIB(酢酸イソ酪酸スクロース)ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カルボポール、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メトキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メトキシエトキシエチル)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、あるいはこれらの組合せが含まれる。]
[0058] 各種実施形態において、薬物デポー剤がポリマーを含有する場合、該ポリマーは、薬物デポー剤の重量を基準にして、約0.5wt%〜約99wt%、または約10wt%〜約99wt%、または約30wt%〜約60wt%で採用できる。]
[0059] デポー剤は、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、またはリン酸ナトリウムなどの緩衝剤およびpH調整剤;分解/放出修正剤;薬物放出調節剤;乳化剤;塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、ポリビニルアルコールおよびフェネチルアルコールなどの保存剤;溶解性調節剤;安定剤;ならびに/または凝集調節剤などの不活性材料を任意選択で含有することができる。典型的には、任意のこのような不活性材料は、0〜75wt%の範囲内、より典型的には0〜30wt%の範囲内で存在する。デポー剤を、脊椎領域または関節領域中に配置する予定なら、各種実施形態において、デポー剤は、保存剤を含まない無菌材料を含有することができる。]
[0060] デポー剤は、様々な大きさ、形状および形態で存在できる。薬物デポー剤の大きさ、形状および形態を決定する上で考慮できるいくつかの因子が存在する。例えば、大きさおよび形状は、双方とも、埋込みまたは注入部位として選択される標的組織部位に薬物デポー剤を容易に配置することを可能にする可能性がある。加えて、系の形状および大きさは、埋込みまたは注入の後に薬物デポー剤が移動することを最小にする、または予防するように選択すべきである。各種実施形態において、薬物デポー剤は、球、円筒(棒またはペレットなど)、繊維、平坦表面(円盤、フィルム、またはシート)などのように形づくられる。柔軟性は、薬物デポー剤の配置を容易にするように考慮することができる。各種実施形態において、薬物デポー剤は、様々な大きさでよく、例えば、薬物デポー剤は、約0.5mm〜5mmの長さでよく、約0.01〜約2mmの直径を有することができる。各種実施形態において、薬物デポー剤は、約0.005〜1.0mm、例えば、0.05〜0.75mmの層厚を有することができる。]
[0061] X線造影マーカーを薬物デポー剤上に含め、使用者が、デポー剤を患者の標的部位中に正確に配置することを可能にすることができる。これらのX線造影マーカーは、また、使用者が、該部位でのデポー剤の動きおよび分解を長期にわたって追跡することを可能にする。この実施形態において、使用者は、多数の診断造影法のいずれかを使用して、部位中にデポー剤を正確に配置することができる。このような診断造影法には、例えば、X線造影または蛍光透視が含まれる。このようなX線造影マーカーには、これらには限定されないが、バリウム、カルシウム、および/または金属のビーズまたは粒子が含まれる。存在する場合、X線造影マーカーは、典型的には、約10%〜40%(10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、および40%、ならびに任意のこれら2値間の範囲、例えば、10〜15%、15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35%〜40%等々を含み、15〜30%がより典型的であり、さらにより典型的には20〜25%である)の量で存在する。各種実施形態において、X線造影マーカーは、球形状またはデポー剤周りの環でよい。]
[0062] 典型的な一実施形態では、患者の皮膚下の標的組織部位に治療薬を送達するための薬物デポー剤が提供され、該薬物デポー剤は、有効量のグルココルチコイドを含み、ここで、標的組織部位は、少なくとも1つの椎間板、脊髄神経根の近傍の脊髄孔空間、椎間または滑膜関節、あるいは脊柱管を含む。]
[0063] 典型的な一実施形態では、そのような治療を必要とする患者における椎間板ヘルニアを縮小、予防または治療するのに有用な埋込み可能な薬物デポー剤が提供され、該埋込み可能な薬物デポー剤は、治療有効量のフルオシノロンまたはデキサメタゾン、あるいはそれらの薬学的に許容される塩を含有し、該デポー剤は、椎間板ヘルニアを縮小、予防または治療するために、皮膚下の部位に埋込み可能であり、該薬物デポー剤は、(i)約0.5重量%〜約40重量%のフルオシノロンまたはデキサメタゾンあるいはこれらの薬学的に許容される塩、(ii)約60重量%〜約99重量%のポリマー、および任意選択で(iii)1%〜50%の賦形剤を含有し、該薬物デポー剤は、有効量のフルオシノロンまたはデキサメタゾンあるいはこれらの薬学的に許容される塩を、少なくとも3日〜6カ月間、または1週〜8週間、または1週〜6週間にわたって放出する能力がある。各種実施形態において、ポリマーは、PLGA、DL−PLA、またはこれらの組合せを含み、賦形剤は、mPEG、D−ソルビトール、マルトデキストリン、PEG、シクロデキストリン、またはこれらの組合せを含む。]
[0064] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、室温でゼラチン状、ゼリー様、またはコロイド状特性を有する物質を含むゲルを含有する。ゲルは、各種実施形態において、ゲル中のいたるところに分散されたまたはゲル内に懸濁されたグルココルチコイドおよび任意選択で1種または複数のさらなる治療薬を有することができる。治療薬の分散は、ゲル中のいたるところでよい。別法として、治療薬の濃度は、その中のいたるところで変わり得る。ゲルまたは薬物デポー剤の生分解性材料が、その部位で分解するにつれて、治療薬(例えば、グルココルチコイド)が放出される。]
[0065] 薬物デポー剤がゲルである場合には、典型的には低粘度ポリマーを採用する噴霧可能なゲルと対照的に、より高粘度のゲルが、他の適用のために望ましい可能性があり、例えば、パテ様の粘稠度を有するゲルが、椎間板ヘルニア用により好ましい可能性がある。]
[0066] 典型的な別の実施形態において、ゲルは、粘性のある形態であり、1種または複数の薬物デポー剤(例えば、治療薬を添加した微小球)で添加され、ここで、粘性のあるゲルは、滑膜関節、椎間板空間、脊柱管、または対象の脊柱管を取り囲む軟組織中に配置される。ゲルは、また、各種実施形態において、組織を密閉または修復するのに、および椎間板ヘルニアを縮小、予防または治療するのに使用できる。さらに別の実施形態において、ゲルは、注射可能な、および/または組織と接着すると固化する接着性ゲルである。例えば、ゲルは、標的組織部位のその場所でゲル化する液体として投与することができる。各種実施形態おいて、ゲルは、液体を投与し、続いてゲル化剤を添加して液体をゲル化または硬化させる2要素系を含むことができる。]
[0067] 各種実施形態において、ゲルは、硬化性ゲルであり、ゲルは、ゲルを標的部位に適用した後に硬化し、薬剤は、体液がゲルに接触するにつれて放出され得る。
各種実施形態において、薬物デポー剤は、グルココルチコイドおよび任意選択で1種または複数のさらなる治療薬で添加され、所望の標的組織部位(例えば、変性椎間板、脊柱管、硬膜外腔など)へ送達される。各種実施形態において、薬物デポー剤を、縫合糸、バーブ、ステープル、接着用ゲルなどによって定位置に保持することができ、このことが、薬物デポー剤が、静脈性全身循環によってその部位から除去されて、あるいはそうでなければあまりに広範に分散されて、所望の治療効果が低下することを防止する。例えば、数時間または数日後に、薬物デポー剤が分解し、それによって、薬物デポー剤(例えば、微小球)が治療薬の放出を開始することを可能にすることができる。微小球は、それらが薬物デポー剤から放出されるまで、薬物放出を開始しない可能性がある。それゆえ、微小球は、不溶性または不活性の物質から形成され、それが、一旦、標識組織部位と接触すると、可溶性または活性物質を形成できる。同様に、薬物デポー剤は、組織内で溶解または分散する物質を含有することができる。薬物デポー剤が、数時間から数日以内に溶解し始めるにつれて、薬物デポー剤(例えば、微小球)は、体液に曝露され、それら内容物を放出し始める。薬物デポー剤は、薬物デポー剤の曝露時間、および薬物デポー剤からの治療薬の放出を最適にするように製剤することができる。]
[0068] 各種実施形態において、薬物デポー剤(例えば、ゲル)は、流動性であり、標的組織部位の上または中に注入、噴霧、点滴、および/または分散することができる。「流動性」は、ゲル製剤が、操作するのが容易であり、標的組織部位またはその近傍でそれが凝集するように、刷毛塗り、噴霧、点滴、注入、成型および/または注型することができることを意味する。「流動性」には、低粘度、または水のような粘稠度を有する製剤から、ペースト様材料などの高粘度を有する製剤までが含まれる。各種実施形態において、製剤の流動性は、製剤が、組織部位の不規則性、裂け目、亀裂、および/または空隙に適合することを可能にする。例えば、各種実施形態において、ゲルは、脊柱中の1つまたは複数の空隙を充填するのに使用できる。]
[0069] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)複合体、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、デンプン、α化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、ビタミンE類似体(酢酸α−トコフェリル、コハク酸d−α−トコフェリルなど)、D,L−ラクチドまたはL−ラクチド、−カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBTコポリマー(Polyactive)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(Pluronics)、PEO−PPO−PAAコポリマー、PLGA−PEO−PLGA、PEG−PLG(ポリ(d,l−ラクチド−co−グリコリド)、PLA−PLGA、ポロキサマー407、PEG−PLGA−PEGトリブロックコポリマー、SAIB(酢酸イソ酪酸スクロース)、またはこれらの組合せを含む。これらの1種または複数の成分は、治療薬が、薬物デポー剤から制御されたおよび/または維持された方式で放出されることを可能にする。例えば、治療薬およびポリマーマトリックスを含有する薬物デポー剤を、標的組織部位に注入することができ、ポリマーマトリックスは、時間経過とともに(例えば、数時間、数日)標的組織部位内で崩壊し、グルココルチコイドおよび任意選択でさらなる治療薬を放出する。したがって、薬物デポー剤の投与を、局在化し、ある期間にわたって行なうことができる(例えば、少なくとも1日から約1〜8週間、またはそれ以上)。]
[0070] 用語「維持放出」(例えば、長期放出または制御放出)は、本明細書中で、ヒトまたはその他の哺乳動物の体内に導入され、1種または複数の治療薬の流れを、所定期間にわたって、かつ所定期間の始めから終わりまで所望の治療効果を達成するのに十分な治療レベルで継続的に放出される1種または複数の治療薬(群)を指すのに使用される。継続的放出流に関する言及は、薬物デポー剤またはマトリックスあるいはこれらの成分のインビボでの生分解の結果として起こる、あるいは治療薬(群)または治療薬(群)の複合体の代謝性変換または溶解の結果として起こる放出を包含すると解釈される。]
[0071] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、埋込み後の最初の24時間以内に、治療薬の初期バースト投与を引き起こすように設計できる。「初期バースト」または「バースト効果」または「ボーラス投与」は、薬物デポー剤が水性体液(例えば、滑液、脳脊髄液など)と接触して最初の24時間内での薬物デポー剤からの治療薬の放出を指す。各種実施形態において、薬物デポー剤は、この初期バースト効果を回避するように設計される。]
[0072] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、グルココルチコイドまたはその薬学的に許容される塩のボーラス投与(例えば、皮膚下の標識部位で5mg〜60mg)を放出する1種または複数の異なる放出層(群)、および有効量のグルココルチコイドまたはその薬学的に許容される塩を、ある期間、例えば、1〜8週間にわたって放出する1種または複数の維持放出層(群)を含む。各種実施形態において、1種または複数の即時放出層(群)はPLGAを含み、該即時放出層は、PLGAよりも低速度で分解するPLAを含む1種または複数の維持放出層(群)に比べてより急速に分解する。]
[0073] 各種実施形態において、薬物デポー剤がゲルを含む場合、ゲルは、約1〜約500センチポイズ(cps)、1〜約200cps、または1〜約100cpsの範囲の投与前粘度を有することができる。標的部位にゲルを投与した後、ゲルの粘度は増加し、ゲルは、約1×104〜約6×105ダイン/cm2、または2×104〜約5×105ダイン/cm2、または5×104〜約5×105ダイン/cm2の範囲の弾性率(ヤング率)を有する。]
[0074] 一実施形態において、ゲルは、ゲル中のいたるところに均一に分布した治療薬を含む接着性ゲルでよい。ゲルは、前に指摘したような任意の適切な部類であってよく、ひとたび配置されたらゲルが標的化された送達部位から移行することを防止するように十分に粘性でなければならず、ゲルは、事実上、標的化された組織部位に「固着」または接着すべきである。ゲルは、また、標的化された組織部位に、化学的方法だけではなく、硬化に先立って組織との機械的相互嵌合によって接着することができる。]
[0075] ゲルは、例えば、標的とされた組織との接触によって、または標的化送達系からの配置の後に固化することができる。標的化送達系は、例えば、シリンジ、カテーテル、ニードルまたはカニューレ、あるいはその他の適切なデバイスでよい。標的化送達系は、標的とされた組織部位の中または上にゲルを注入または噴霧できる。治療薬は、標的とされた組織部位にゲルを配置するに先立って、ゲル中に混合できる。各種実施形態において、ゲルは、2成分送達系の部分でよく、2成分を混合する場合には、ゲルを形成し、かつその標的組織への固着または接着をもたらすように、化学的過程を活性化する。]
[0076] 各種実施形態において、ポリマーを含有するゲル製剤の場合、ポリマー濃度は、ゲルの硬化速度に影響を及ぼす可能性がある(例えば、ポリマー濃度がより高いゲルは、ポリマー濃度がより低いゲルに比べてより急速に凝固する可能性がある)。各種実施形態において、ゲルが硬化すると、生じるマトリックスは、固体であるが、組織の不規則な表面(例えば、脊椎の凹所または突起)に順応する能力もある。]
[0077] ゲル中に存在するポリマーの割合は、また、ポリマー組成物の粘度に影響を及ぼす可能性がある。例えば、より大きな重量パーセントでポリマーを含有する組成物は、一般に、より小さな重量パーセントでポリマーを含有する組成物に比べてより粘稠で、より粘性である。より粘性のある組成物は、よりゆっくりと流動する傾向がある。したがって、いくつかの事例、例えば、噴霧によって製剤を適用する場合には、より低い粘度を有する組成物が好ましい可能性がある。]
[0078] 各種実施形態において、ゲルの分子量は、当技術分野で周知の多くの方法によって変えることができる。分子量を変えるための方法の選択は、典型的には、ゲルの組成(例えば、ポリマー対非ポリマー)によって決定される。例えば、各種実施形態において、ゲルが1種または複数のポリマーを含有する場合、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル)、有機溶媒、または活性化剤(例えば、DMPT)、架橋剤、重合薬剤の量、および/または反応時間を変えることによって、重合度を制御することができる。]
[0079] 適切なゲルポリマーは、有機溶媒に可溶である可能性がある。ポリマーの溶媒への溶解度は、ポリマーの結晶化度、疎水性、水素結合、および分子量に応じて変化する。より低分子量のポリマーは、通常、高分子量のポリマーに比べて有機溶媒により容易に溶解する。高分子量のポリマーを含むポリマー性ゲルは、低分子量のポリマーを含むポリマー性組成物に比べてより急速に凝集または固化する傾向がある。高分子量ポリマーを含むポリマー性ゲル製剤は、また、低分子量ポリマーを含むポリマー性ゲルに比べてより高い溶液粘度を有する傾向がある。]
[0080] 各種実施形態において、ゲルは、約300〜約5,000センチポイズ(cp)の粘度を有することができる。他の実施形態において、ゲルは、標的部位またはその近傍で該ゲルを噴霧することを可能にする、室温で、約5cps〜約300cps、約10cps〜約50cps、約15cps〜約75cpsの粘度を有することができる。]
[0081] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、粘度を高め、薬物の放出を制御するための材料を含有することができる。このような材料としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびこれらの塩、カルボポール、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メトキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メトキシエトキシエチル)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG550、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900、PEG1000、PEG1450、PEG3350、PEG4500、PEG8000、またはこれらの組合せが含まれる。例えば、各種実施形態において、薬物デポー剤は、PLGA、DL−PLA、またはこれらの組合せを含むポリマーを含有し、賦形剤は、mPEG、D−ソルビトール、マルトデキストリン、10%〜60%のPEG3350MW、シクロデキストリン、またはこれらの組合せを含むことができる。]
[0082] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−グリコリド−ε−カプロラクトン、グリコリド−カプロラクトン、またはこれらの組合せを含有する。]
[0083] 各種実施形態において、ゲルは、ゲルの分子量および分解時間の尺度である固有粘度(I.Vと略記され、単位はdL/gである)を有する(例えば、大きな固有粘度を有するゲルは、より大きな分子量およびより長い分解時間を有する)。典型的には、高分子量のゲルは、より強固なマトリックスを提供し、該マトリックスは、分解するのにより多くの時間を費やす。対照的に、低分子量のゲルは、より迅速に分解し、より軟らかいマトリックスを提供する。各種実施形態において、ゲルは、約0.10dL/g〜約1.2dL/g、または約0.10dl/g〜約0.40dL/gの固有粘度によって示されるような分子量を有する。その他のIV範囲には、これらには限定されないが、約0.05〜約0.15dL/g、約0.10〜約0.20dL/g、約0.15〜約0.25dL/g、約0.20〜約0.30dL/g、約0.25〜約0.35dL/g、約0.30〜約0.35dL/g、約0.35〜約0.45dL/g、約0.40〜約0.45dL/g、約0.45〜約0.50dL/g、約0.50〜約0.70dL/g、約0.60〜約0.80dL/g、約0.70〜約0.90dL/g、および約0.80〜約1.00dL/gが含まれる。各種実施形態において、薬物デポー剤は、約0.05〜約1.0dL/gのような固有粘度を有することができる。]
[0084] 薬物デポー剤の放出プロフィールは、また、数ある中でも、薬物デポー剤の成分の粒径分布を制御することによって調節できる。各種実施形態において、薬物デポー剤中の成分(例えば、グルココルチコイド、ゲルなど)の粒径分布は、薬物デポー剤を、標的部位またはその近傍に注入、噴霧、点滴などによって容易に送達できるように、約10μm〜100μmの範囲でよい。]
[0085] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、合成または天然起源の高分子量の生体適合性弾性ポリマーから構成されるヒドロゲルを含有することができる。ヒドロゲルが所持すべき望ましい特性は、人体中で機械的応力、特に剪断および荷重に対して急速に応答する能力である。]
[0086] 天然供給源から得られるヒドロゲルは、それらが、インビボでの応用に関して生分解性および生体適合性である可能性がより大きいので、特に興味を喚起する。適切なヒドロゲルには、例えば、ゼラチン、コラーゲン、絹、エラスチン、フィブリン、および多糖由来のポリマー(アガロースおよびキトサンのような)などの天然ヒドロゲル、グルコマンナンゲル、ヒアルロン酸、多糖(架橋されたカルボキシ含有多糖など)、またはこれらの組合せが含まれる。合成ヒドロゲルには、これらには限定されないが、ポリビニルアルコール、アクリルアミド(ポリアクリル酸およびポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)など)、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG3350、PEG4500、PEG8000)、シリコーン、ポリオレフィン(ポリイソブチレンおよびポリイソプレンなど)、シリコーンとポリウレタンのコポリマー、ネオプレン、ニトリル、加硫ゴム、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、アクリレート(ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)およびアクリレートとN−ビニルピロリドンとのコポリマー)、N−ビニルラクタム、ポリアクリロニトリル、またはこれらの組合せが含まれる。ヒドロゲル材料は、さらに、架橋され、必要とされるようなさらなる強度を提供できる。異なる部類のポリウレタンの例には、熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、脂肪族または芳香族ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネート−ウレタンまたはシリコーンポリエーテル−ウレタン、あるいはこれらの組合せが含まれる。]
[0087] 各種実施形態において、治療薬を薬物デポー剤中に直接混合するよりもむしろ、微小球に治療薬(例えば、グルココルチコイド)を添加し、該微小球を、薬物デポー剤内に分散させることができる。一実施形態において、微小球は、治療薬の維持放出を提供する。さらに別の実施形態において、生分解性である薬物デポー剤は、微小球が治療薬を放出するのを防止し、かくして、微小球は、それらがデポー剤から放出されるまで、治療薬を放出しない。例えば、薬物デポー剤を、標的組織部位(例えば、神経根)の周囲に配置することができる。所望の治療薬を封じ込めた複数の微小球を、薬物デポー剤内に分散させる。これらの微小球のいくつかは、薬物デポー剤から放出されると分解し、かくして治療薬を放出する。]
[0088] 微小球は、流体と極めて類似し、取り囲んでいる組織の種類に応じて、相対的には速やかに分散し、それゆえ、治療薬を分散させることができる。いくつかの状況において、このことが望ましいこともある。他では、治療薬を十分に画定された標的部位にしっかり押し込めて保持することが、より望ましいこともある。
カニューレまたはニードル
当業者は、薬物送達デバイス、例えば、シリンジ、銃式薬物送達デバイス、または標的器官もしくは解剖学的領域への薬物の適用に適した任意の医療用デバイスの一部であってよいカニューレもしくはニードルを使用して、デポー剤を標的部位(例えば、ヘルニア化した椎間板またはその近傍)に投与できることを認識するであろう。薬物デポーデバイスのカニューレおよびニードルは、患者にもたらす身体および心理的トラウマが最小であるように設計される。]
[0089] カニューレまたはニードルは、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマー性オレフィン、コポリエステル、およびスチレン系熱可塑性エラストマー、鋼鉄、アルミニウム、ステンレススチール、チタン、非鉄金属含有量が高くかつ鉄の相対比率が低い金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミック、またはこれらの組合せなどの材料から形成できるチューブを含む。カニューレまたはニードルは、任意選択で1つまたは複数のテーパー状領域を含んでいてもよい。各種実施形態において、カニューレまたはニードルは、斜に切断することができる。カニューレまたはニードルは、また、埋込み部位に応じて、患者の的確な治療のためにチップ型留め具(tip style vital)を有することができる。チップ型の例には、例えば、Trephine、Cournand、Veress、Huber、Seldinger、Chiba、Francine、Bias、Crawford、湾曲チップ、Hustead、Lancet、またはTuoheyが含まれる。各種実施形態において、カニューレまたはニードルは、また、ノンコアリングであり、かつ望ましくないニードル粘着を回避するためにそれを覆う被覆を有することができる。]
[0090] 中空カニューレまたはニードルの寸法は、数ある中でも、埋込み部位によって決まる。例えば、硬膜外空間の幅は、胸部領域では約3〜5mm、腰部領域では約5〜7mmであるにすぎない。したがって、ニードルまたはカニューレは、各種実施形態において、これらの特定領域に向けて設計できる。各種実施形態において、カニューレまたはニードルは、例えば、炎症のある神経根に沿って脊髄孔空間中に経孔的接近方法を使用して挿入し、状態を治療するために、薬物デポー剤をその部位に埋め込むことができる。典型的には、経孔的接近方法は、椎間孔を通って椎間空間に接近することを含む。]
[0091] カニューレまたはニードル長の若干の例としては、これらには限定されないが、硬膜外小児学の用途では約50〜150mm、例えば、約65mmの長さ、標準的成人では約85mm、肥満成人患者では約110mmを挙げることができる。カニューレまたはニードルの厚さも、埋込み部位によって決まる。各種実施形態において、厚さは、これらには限定されないが、約0.05〜約1.655が挙げられる。カニューレまたはニードルのゲージは、ヒトまたは動物の体中に挿入するための、最大または最小の直径、あるいはその間の直径でよい。最大直径は、典型的には、約14ゲージであり、最小直径は、約22ゲージである。各種実施形態において、ニードルまたはカニューレのゲージは、約18〜約22ゲージである。]
[0092] 各種実施形態において、薬物デポー剤および/またはゲルと同様、カニューレまたはニードルは、皮膚下の部位またはその近傍の位置を指し示す投与X線造影マーカーを含み、その結果、使用者は、多くの画像診断法のいずれかを使用して該部位またはその近傍へデポー剤を正確に配置できる。このような画像診断法には、例えば、X線造影または蛍光透視が含まれる。このようなX線造影マーカーには、これらには限定されないが、バリウム、カルシウム、および/または金属のビーズもしくは粒子が含まれる。]
[0093] 各種実施形態において、ニードルまたはカニューレは、超音波、蛍光透視、X線またはその他の造影技術によって視覚化できる透明または不透明部分を含むことができる。このような実施形態において、透明または不透明部分は、該材料またはトポグラフィーの不在と比較してニードルまたはカニューレのコントラストを高める、X線不透過性材料または超音波応答性トポグラフィーを含むことができる。]
[0094] 薬物デポー剤および/または薬物投与用医療デバイスは、滅菌可能である。各種実施形態において、薬物デポー剤および/または薬物投与用医療デバイスの1種または複数の構成要素は、最終包装の終末滅菌段階で放射線によって滅菌される。製品の終末滅菌は、個々の製品要素を個別的に滅菌し、無菌環境中で最終包装に組み立てる必要のある滅菌法のような方法によるよりも、無菌性のより大きな保証を提供する。]
[0095] 典型的には、各種実施形態で、終末滅菌段階では、デバイス中に深く浸透するγ線からのイオン化エネルギーを利用することを含むγ−照射を使用する。γ線は、微生物を殺害するのに極めて効果的であり、残り物を残さず、またデバイスに放射能を与えるほどの十分なエネルギーも有さない。γ線は、デバイスが包装中に存在する場合に採用することができ、かつγ線滅菌は、高圧または真空条件を必要とせず、かくして包装用シールおよびその他の要素に応力が加わらない。加えて、γ線照射は、透過性包装材料を必要としない。]
[0096] 各種実施形態において、電子線(e−ビーム)照射を使用して、デバイスの1種または複数の要素を滅菌することができる。e−ビーム照射は、一般には、低浸透および高線量率を特徴とするイオン化エネルギーの形態を含む。e−ビーム照射は、各種の化学物質および分子結合を、微生物の生殖細胞を含めて接触するように変えるγ線処理に類似している。e−ビーム滅菌のために作り出されるビームは、電荷の加速および変換によって作り出される、1点に集中された高帯電電子流である。e−ビーム滅菌は、例えば、薬物デポー剤をゲル中に含める場合に使用できる。]
[0097] 限定はされないが、例えばエチレンオキシドを用いるガス滅菌、または蒸気滅菌を含むその他の方法を使用して、デポー剤および/またはデバイスの1つもしくは複数の要素を滅菌することもできる。]
[0098] 各種実施形態において、薬物デポー剤および/または薬物デポー剤を埋め込むのに使用するために一緒に組み合わせた医療用デバイスに加えて、付加的部品(例えば、リボン様繊維)を含んでいてもよいキットが提供される。該キットは、第1の区画中に薬物デポー剤デバイスを含むことができる。第2の区画は、薬物デポー剤および局所化された薬物送達に必要とされる任意のその他の装置を保持する缶を含むことができる。第3の区画は、手袋、無菌布、創傷包帯、および埋込み処置の無菌性を維持するためのその他の処置用品、ならびに説明小冊子を含むことができる。第4の区画は、追加のカニューレおよび/またはニードルを含むことができる。各器具は、照射滅菌されるプラスチック袋中に個々に包装することができる。キットのカバーは、埋込み方法の説明図を含むことができ、無菌性を維持するために、透明プラスチックカバーを、区画を覆って配置することができる。
薬物送達
各種実施形態において、グルココルチコイドを患者のヘルニア化した椎間板またはその近傍に送達する方法が提供され、該方法は、ヘルニア化した椎間板またはその近傍にカニューレを挿入すること、およびグルココルチコイドを含有する薬物デポー剤を、患者のヘルニア化した椎間板またはその近傍に局所的に埋め込むことを含む。各種実施形態において、薬物デポー剤を所望の部位に投与するためには、まず、カニューレまたはニードルを、皮膚および軟組織を通して標的組織部位の下、またはヘルニア化した椎間板またはその近傍に挿入し、薬物デポー剤を標的部位またはその近傍に投与(例えば、注入、埋込み、点滴、噴霧など)することができる。薬物デポー剤がゲルと別である実施形態では、まず、カニューレまたはニードルを、皮膚および軟組織を通して注入部位の下に挿入し、ゲルの1つまたは複数の基層(群)を標的部位(例えば、ヘルニア化した椎間板)に投与することができる。1つまたは複数の基層(群)の投与に続いて、薬物デポー剤を、基層(群)の上または中に、ゲルがデポー剤を定位置に保持、または移動を低減できるように埋め込むことができる。所望なら、ゲルの後続の層または層群を、薬物デポー剤上に塗布し、該デポー剤を取り囲み、さらにそれを定位置に保持することができる。別法として、まず、薬物デポー剤を埋め込み、次いで、それを定位置に保持するために該薬物デポー剤の周りにゲルを配置(刷毛塗り、点滴、注入、または塗装)することができる。ゲルを使用することによって、薬物デポー剤の正確で精密な埋込みを、患者への身体および心理的トラウマを最小にして完遂することができる。各種実施形態において、薬物デポー剤は、標的部位に縫合することができ、あるいは別法として、薬物デポー剤は、縫合なしで埋め込むことができる。例えば各種実施形態において、薬物デポー剤は、リボン形状にされたデポー剤であってよく、術前、術中または術後に標的部位(例えば、ヘルニア化した椎間板)に配置されることが可能である。]
[0099] 各種実施形態において、標的部位が脊髄領域を含むなら、まず、カニューレまたはニードルを通して標的部位から体液(例えば、脊髄液など)の一部を抜き出し、次いで、デポー剤を投与(配置、滴下、注入、または埋込み)することができる。標的部位は、再水和(例えば、体液の補充)され、この水性環境が、デポー剤からの薬物の放出を引き起こす。]
[0100] 「局所化」送達は、1種または複数の薬物が、組織(ヘルニア化した椎間板)またはその近傍で内部に堆積される送達を含む。例えば、局所化送達には、神経系の神経根または脳領域への、あるいはそれに極めて接近した(例えば、約0.1cm〜10cm以内に)送達が含まれる。「標的化送達システム」は、椎間板ヘルニアの予防、縮小、または治療に必要とされるような、標的組織部位(例えば、ヘルニア化した椎間板)またはその近傍に堆積できる量の治療薬を含む1種または複数の薬物デポー剤(例えば、ゲル、またはゲル中に分散されたデポー剤など)の送達を提供する。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、頚椎(首)、胸椎(胸郭の後ろの背部)、腰椎(腰部)、および仙椎(動かない骨盤に連結された部分)などの脊椎中のどこでも起こり得る。本出願中で特許請求される実施形態において、薬物デポー剤は、椎間板ヘルニアまたはその近傍に、例えば、頚椎、胸椎、腰椎、および/または仙椎に埋め込むことができる。]
[0101] 本明細書中で使用する場合、「椎間板ヘルニア」は、椎間板区域の限界を超えた椎間板材料の局所的移動を含む。椎間板材料は、髄核、軟骨、断片化された骨端骨(apophysical bone)、輪組織、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。椎間板材料の移動は、出口の脊髄神経に圧迫を加え、かつ/または神経根障害、脱力感、知覚麻痺、および/または上肢または下肢の刺痛につながる炎症反応を引き起こす可能性がある。神経根障害は、脊髄神経根に影響を及ぼす任意の疾患を指す。]
[0102] 椎間板ヘルニアは、例えば、坐骨神経痛、神経圧迫、椎間板性背部痛、脊髄孔狭窄、神経挟扼、圧迫性神経障害、慢性神経痛、感覚および/もしくは運動神経障害、知覚麻痺または脱力感などの状態に至る場合がある。したがって、本出願の薬物デポー剤は、これらの状態を治療するのに使用できる。]
[0103] 若干の実施形態において、椎間板ヘルニアは、輪線維症の破裂を含み、そのために、椎間板内部材料(髄核)が、押し出され、突出し、膨隆し、移動し、および/または再ヘルニア化する。時には、椎間板の押出しは、それが親椎間板との連続性を失うほどに移動する可能性もある。これが起こると、押出しは、隔離と呼ばれる。したがって、本出願の薬物デポー剤は、破裂、突出、膨隆、押出し、再ヘルニア化、および移動、断片化および/または隔離化髄核を治療するのに使用できる。]
[0104] 「移動した椎間板または断片化した椎間板」は、輪の開口部から抜け出す椎間板材料の移動を指し、該材料は、その開口部を通って押し出される。時には、移動した断片が隔離される。例えば、髄核は、ヘルニア化した椎間板から抜け出て移動し、脊柱の様々な場所で隔離が存在する結果となる可能性があり、神経挟扼または脊柱管狭窄もたらす可能性がある。]
[0105] 一般に、ほとんどの椎間板ヘルニアは、脊柱の腰部域で起こる。腰部椎間板ヘルニアは、頸部椎間板ヘルニアに比べて15倍より多く発生し、腰痛の最も一般的な原因の1つである。頸部椎間板が襲われるのは、該回数の8%、上部〜中間背部(胸部)椎間板では該回数のわずか1〜2%である。時には、ヘルニア化した椎間板は、極めて痛い神経学的症状をもたらす脊髄神経根の圧迫につながる場合がある。神経根(脊髄から分岐する大きな神経)は、圧迫され、感覚または運動の変化などの神経学的症状をもたらすことになる可能性がある。例えば、髄核のヘルニア化には、座位で悪化する腰痛、および下肢まで放散する疼痛が伴うことが多い。例えば、坐骨神経痛における放散痛は、間欠性の鋭い電気ショック感覚、知覚麻痺、および刺痛を伴う鈍い焼けるような、もしくは鋭い疼痛、それぞれの神経根の運動もしくは感覚欠陥、ならびに/または反射異常として説明されることが多い。]
[0106] 若干の実施形態では、グルココルチコイドを含有する薬物デポー剤を、髄核が輪から押し出され突出しまたは移動する椎間板ヘルニアまたはその近傍に埋め込むことによって、グルココルチコイドは、それが薬物デポー剤から溶出するにつれて髄核吸収の増強を引き起こし、髄核ヘルニアの大きさおよび容積を縮小する。若干の実施形態において、髄核ヘルニアの大きさは、縮小し、吸収は、約15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、45〜50%、55〜60%、65〜70%、75〜80%、85〜90%、または95〜100%ほど高められるか、あるいはヘルニア化した椎間板が完全に消散する。]
[0107] 若干の実施形態では、グルココルチコイドを投与することによって、髄核の通常的自発的吸収の高められた吸収が、グルココルチコイドで治療しない通常的自発的髄核吸収によって行なわれる量よりも約15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、45〜50%、55〜60%、65〜70%、75〜80%、85〜90%、または95〜100%ほど多く起こる場合がある。例えば、時によって、ヘルニア化した髄核は、治療なしで独力で自発的に吸収される。これは、典型的には、約6週〜8週間を費やす場合がある。本出願の若干の実施形態では、グルココルチコイドを椎間ヘルニアまたはその近傍に投与することによって、髄核の吸収は、どんな治療もしない場合よりもヘルニアがより速く治癒するように高められるか、あるいは増大する。]
[0108] 若干の実施形態では、薬物デポー剤を椎間板ヘルニアまたはその近傍に埋め込むことによって、髄核ヘルニアの大きさおよび/または容積を、1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4ほど、または完全に縮小する。例えば、薬物デポー剤は、椎間板ヘルニアから0.1cm、0.5cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm離してヘルニア内に埋め込むことができ、大きさおよび/または容積は、特定の期間内(例えば、3日〜6カ月間、3日〜8週間、または6週間〜3カ月間)に1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4ほど、または完全に縮小する。]
[0109] 若干の実施形態において、埋め込まれる薬物デポー剤が椎間板ヘルニアに近ければ近いほど、髄核の吸収が高められ、ヘルニアは、大きさおよび/または容積を縮小し、患者の状態の改善につながる場合があることが見出された(実施例1参照)。この発見は、ステロイドが、マクロファージ、線維成長、血管新生、創傷縮小を阻害すること、および/または炎症応答を変えること、かくして創傷治癒を阻害することによって髄核吸収を阻害するという通常の知識に反する。それと反対に、本出願者らは、グルココルチコイド(例えば、フルオシノロン)を含有する薬物デポー剤を投与することによって、髄核吸収が高められ、椎間板ヘルニアの大きさおよび/または容積を縮小できることを見出している。]
[0110] 若干の実施形態において、グルココルチコイドは、椎間板ヘルニアの進行および/または重症度を逆転し、低減し、かつ/または阻害するか、あるいは椎間板ヘルニアの1種または複数の症状(例えば、疼痛、知覚麻痺、刺痛、運動または感覚欠如など)の重症度を低減する。]
[0111] 若干の実施形態において、椎間板ヘルニアの縮小(例えば、高められた髄核吸収による)は、患者の症状または徴候の改善(例えば、背部痛、知覚麻痺などの低減)によって臨床的に判定できる。若干の実施形態において、椎間板ヘルニアの縮小は、例えば、X線、CT、MRI、脊髄造影、筋電図、神経伝導研究などの診断検査によって髄核の大きさおよび/または容積の縮小を測定することによって判定できる。]
[0112] 若干の実施形態において、そのような治療を必要とする患者の椎間板ヘルニアを治療するための方法が提供され、該方法は、治療有効量のグルココルチコイドを含有する1種または複数の生分解性薬物デポー剤を椎間板ヘルニアまたはその近傍に投与することを含み、ここで、1種または複数の生分解性薬物デポー剤は、有効量のグルココルチコイドを少なくとも3日間〜6カ月間にわたって放出する能力がある。]
[0113] 単なる例示の目的で、図1Aは、椎間板20aの例を示す。椎間板20aは、2つの要素、すなわち線維輪22aおよび髄核24aから構成される。髄核24aは、線維輪によって取り囲まれたゼラチン状内部材料である。髄核は、椎間板20aに加えられる機械的負荷を分配し、一方、線維輪22aは、構造統合性を提供し、髄核24aを特定の脊椎領域に押し込める。線維輪22aは、ラミナと呼ばれる同心層の状態に配列された線維軟骨性および線維性組織で設計される。1つが髄核から周縁部に移動するにつれて、線維輪組織は、最外層に達するまで、より密に、より強く、より少なく弾性に、より少なく流動性に、かつより靭帯性になる。そこで、組織は、実際上、強靭なカプセル状靭帯になる。線維輪22aは、年齢と共により弱くなり、断裂し始める。図1Aに示すように、輪断裂22aと呼ばれる線維輪中の欠陥は、初期段階において髄核の膨隆またはヘルニア26を可能にする。時間が進むにつれて、図1Bに示すように、その欠陥は、線維輪22aおよび22bの完全な破裂28に至ることが多い。ヘルニア化した椎間板20aまたは破裂した椎間板20bは、脊柱管を圧迫し、椎間板20a、20bを通過する神経根に圧力を行使し、腰痛を引き起こす。加えて、髄核24aは、感覚神経の興奮性を刺激または増大させる能力のあるかなりの量の物質、例えば、プロスタグランジンE、ヒスタミン様物質、乳酸およびポリペプチドアミンなどを含む。これらの物質は、輪断裂28を通って漏れ出て、腰痛、坐骨神経痛を強めるか、あるいは放散性下肢痛を生じさせる可能性がある。さらに、輪断裂25aおよび25bは、断裂中への線維組織の成長を引き起こし、そのことが、疼痛および/または炎症を強める。] 図1A 図1B
[0114] グルココルチコイドを含有する薬物デポー剤は、ヘルニアまたはその近傍、例えば、輪断裂またはその近傍に埋め込むことができる。埋込みは、髄核吸収を高め、ヘルニアの大きさおよび容積の減少および/または完全な消散を引き起こす。]
[0115] 図2は、線維輪32中に輪断裂34aおよび34bを有する椎間板30を示す。しかし、薬物デポー剤の埋込みの結果として、この段階で、髄核31は封じ込められているので、この椎間板は破裂しない。薬物デポー剤10は、(シリンジ36によってプランジャー37を使用してニードル38を通して)断裂34aおよび34bに隣接する組織中に送達される。薬物デポー剤は、欠陥の約1cm、2cm、または5cm、または10cm以内の組織中に注入することができ、そこで、デポー剤は、隣接組織39をとらえ、かつデポー剤は、輪断裂34aおよび34bまたはその近傍に存在することができる。この方式で、標的に向けた薬物送達を完遂することができる。] 図2
[0116] 若干の実施形態において、送達される薬物デポー剤がヘルニアに近ければ近いほど、髄核吸収がより増強され、椎間板ヘルニアがより縮小する。「椎間板ヘルニアを縮小する」は、組成物を投与して、このような投与なしで生じる椎間板ヘルニアの数、程度、および/または重症度に比較して、椎間板ヘルニアの数、椎間板ヘルニアの程度(例えば、面積)および/または椎間板ヘルニアの重症度(例えば、厚さ、容積)の低減を引き起こすことを指す。各種実施形態において、椎間板ヘルニアを縮小することは、プロトコールの一部であり、さらに処置(例えば、椎間板ヘルニアを縮小するためのその後の手術)を実施することを含むことができる。組成物または処置は、椎間板ヘルニアを促進する刺激に続く椎間板ヘルニアの形成を阻止する可能性があり、椎間板ヘルニアの進行を阻止する可能性があり、かつ/または椎間板ヘルニアの再発を阻止する可能性がある。]
[0117] 「椎間板ヘルニアを予防すること」は、椎間板ヘルニアの形成に先立って、治療用組成物を投与して、特定の傷害、刺激、または状態に応答して椎間板ヘルニアが生じる可能性を低減することを指す。各種実施形態において、椎間板ヘルニアを予防することは、プロトコールの一部であり、さらに処置(例えば、椎間板ヘルニアを縮小するための手術)を実施することを含むことができる。「椎間板ヘルニアを予防すること」は、椎間板ヘルニア形成の可能性をゼロまで低減させることを要求するものではない。それよりも、「椎間板ヘルニアを予防すること」は、特定の傷害、または刺激に続く椎間板ヘルニア形成の可能性の臨床的に有意な低減、例えば、椎間板ヘルニアを促進する特定の傷害、状態、または刺激に応答した椎間板ヘルニアの発生率または数の臨床的に有意な低減を指す。]
[0118] 「椎間板ヘルニアを治療すること」は、椎間板ヘルニアの進行および/または重症度を、逆転(完全にまたは部分的に)、軽減、低減、および/または阻止する、あるいは再発性椎間板ヘルニアの再発可能性および/または重症度を低減する組成物を投与することを指す。「椎間板ヘルニアを治療すること」は、また、椎間板ヘルニアの1種または複数の症状(例えば、疼痛、刺痛、坐骨神経痛など)の進行を逆転、軽減、低減、阻止すること、あるいはそれらの症状の再発可能性および/または重症度を低減することを指す。各種実施形態において、椎間板ヘルニアを治療することは、プロトコールの一部であり、さらに処置(例えば、椎間板ヘルニアを縮小するための手術)を実施することを含むことができる。したがって、「椎間板ヘルニアを治療すること」には、傷害または刺激に続いて椎間板ヘルニア(群)が既に形成されるやいなや、治療用組成物および/または処置を施すことが含まれる。]
[0119] 用語「疼痛」には、疼痛の侵害受容および感覚が含まれ、それらは、双方とも、疼痛スコアおよび当技術分野で周知のその他の方法を使用して、客観的および主観的に評価することができる。本明細書に開示の方法および組成物によって低減、予防または治療可能な疼痛の典型的類型には、これらには限定されないが、腰痛、頸痛、下肢痛、根痛、神経因性疼痛(上肢、頸部、背部、腰部、下肢の)、あるいは椎間板または脊椎の手術に由来する関連疼痛分布が含まれる。]
[0120] 脊椎部位が示されているが、前記のように、薬物デポー剤は、これらには限定されないが、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、脊椎椎間板、脊髄孔空間、脊髄神経根近傍、または脊柱管を含む、皮膚下の任意部位に送達することができる。各種実施形態において、グルココルチコイドを含有する薬物デポー剤は、患者に非経口で投与することができる。用語「非経口」は、本明細書中で使用する場合、消化管を迂回する投与方式を指し、例えば、局所化された静脈内、筋内、連続または間欠点滴、腹腔内、胸骨内、皮下、術中、鞘内、椎間板内、椎間板周辺、硬膜外、脊椎周辺、関節内注入、またはこれらの組合せを指す。]
[0121] 非経口投与は、さらに、例えば、脊椎または1つまたは複数の炎症性関節の近傍にカテーテルを通して医薬組成物(例えば、グルココルチコイド)を局所的に投与する点滴ポンプ、標的部位またはその近傍に挿入できる埋め込み可能なミニポンプ、時間当たり一定量の組成物を連続的にまたは間欠的なボーラス投与量で放出できる埋め込み可能な制御放出デバイスまたは維持放出送達システムを包含することができる。使用に適したポンプの一例が、SynchroMed(登録商標)ポンプ(Medtronic社、Minneapolis、ミネソタ州)である。このポンプは、3つの密閉されたチャンバーを有する。1つは、電子モジュールおよびバッテリーを収容する。第2チャンバーは、ペリスタポンプおよび薬物リザバーを収容する。第3チャンバーは、医薬組成物をペリスタポンプ中に押し込むのに必要な圧力を提供する不活性ガスを収容する。ポンプに供給するために、医薬組成物を、リザバーの充填ポートを通して膨張可能なリザバーに注入する。不活性ガスは、リザバーに圧力を与え、その圧力は、フィルターを通して医薬組成物をポンプチャンバー中に押し込む。次いで、医薬組成物は、ポンプチャンバーのデバイスから標的部位での堆積に向けられたカテーテル中にポンプで送出される。医薬組成物の送達速度は、マイクロプロセッサーによって制御される。このことは、ポンプを使用して、同じまたは異なる量の医薬組成物を、連続的に一定時間、または設定された送達間隔で送達することを可能にする。]
[0122] 本明細書に記載の方法に適合させるのに適している可能性のある薬物送達デバイスには、これらには限定されないが、例えば、標的に特異的な薬物送達のための医療用カテーテルを記載している米国特許第6551290号(Medtronic社に譲渡され、その開示全体が、参照により本明細書に援用される)、生物学的活性薬剤の制御可能な放出のための埋め込み可能な医療用デバイスを記載している米国特許第6571125号(Medtronic社に譲渡され、その開示全体が、参照により本明細書に援用される)、治療薬を生命体中の選択された部位に送達するための実質内点滴カテーテルシステムを記載している米国特許第6594880号(Medtronic社に譲渡され、その開示全体が、参照により本明細書に援用される)、および間隔をあけた部位に等容積の薬剤を点滴するための埋め込み可能なカテーテルを記載している米国特許第5752930号(Medtronic社に譲渡され、その開示全体が、参照により本明細書に援用される)中に記載のデバイスが含まれる。各種実施形態において、ポンプは、フィードバックで調節される送達を備えた前以てプログラムできる埋め込み可能な装置、化学物質の制御放出のためのマイクロリザバー浸透圧放出システム、液状薬剤を送達するための小型軽量デバイス、埋め込み可能な超小型点滴デバイス、埋め込み可能なセラミックバルブポンプアッセンブリ−、または折りたためる流体チャンバーを備えた埋め込み可能な点滴ポンプを用いて構成できる。Alzet(登録商標)浸透圧ポンプ(Durect社、Cupertino、カリフォルニア州)は、また、多様な大きさ、ポンプ流量、および記載の方法で使用するのに適した持続期間で入手できる。各種実施形態において、患者の手術部位に治療薬を送達するための方法が提供される。例えば、埋め込み可能なAlzet(登録商標)浸透圧ポンプは、ステロイドを、基本的には連続で標的組織部位へ局所的に送達する(例えば、Alzet(登録商標)浸透圧ポンプは、坐骨神経近傍への鞘内でのグルココルチコイドのμg/時間での連続点滴送達を可能にする。]
[0123] 各種実施形態において、グルココルチコイドは局所的に投与されるので、治療上有効な投与量は、他の経路(経口、局所など)で投与される投与量より少なくてもよい。例えば、薬物デポー剤から送達される薬物投与量は、例えば、経口投与量または注射性投与量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または99.9%未満であってもよい。観点を変えれば、例えば、肝トランスアミナーゼ上昇、肝炎、腎不全、筋障害、便秘などの全身性副作用を低減または排除できる。]
[0124] 用語「患者」は、限定はされないが、ヒト、その他の霊長類(チンパンジー、類人猿オランウータンおよびサルなど)、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマなどを含む分類学的部類「哺乳動物」由来の生物体を指す。
グルココルチコイドデポー剤の調製方法
各種実施形態において、グルココルチコイドを含有する薬物デポー剤は、生体適合性ポリマーと治療有効量のグルココルチコイドまたはその薬学的に許容される塩とを組み合わせること、および該組合せから、埋め込み可能な薬物デポー剤を形成することによって調製できる。]
[0125] 生体適合性ポリマー(群)、治療薬(群)および任意選択の材料から薬物デポー剤の少なくとも一部を形成するには、溶液加工処理技術および/または熱可塑性加工処理技術を含む各種の技術を利用できる。溶液処理技術を使用する場合、典型的には、1種または複数の溶媒種を含む溶媒系が選択される。溶媒系は、一般に、少なくとも1種の重要な成分、例えば、生体適合性ポリマーおよび/または治療薬に対して良好な溶媒である。溶媒系を構成する個々の溶媒種は、乾燥速度および表面張力を含むその他の特性に基づいて選択することもできる。]
[0126] 溶液加工処理技術には、溶媒注型技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、溶媒噴霧技術、浸漬技術、空気懸濁を含む機械的懸濁を介するコーティングを含む技術(例えば、流動化コーティング)、インクジェット技術、および静電技術が含まれる。適切なら、上に挙げたような技術を反復または組み合わせてデポー剤を構築して、所望の放出速度および所望の厚さを得ることができる。]
[0127] 各種実施形態において、溶媒および生体適合性ポリマーを含有する溶液を、組み合わせて、所望の大きさおよび形状を有する型の中へ注ぐことができる。この方式で、障壁層、潤滑層などを含むポリマー領域を形成することができる。所望なら、溶液は、さらに、次のもの、すなわち、グルココルチコイドおよびその他の治療薬(群)、ならびにX線造影剤(群)などのその他任意の添加剤の1種または複数を、溶解または分散された形態で含むことができる。このことは、溶媒を除去した後に、これらの種を含むポリマーマトリックス領域を生じさせる。他の実施形態において、溶解または分散された治療薬と共に溶媒を含有する溶液は、溶液加工処理技術および熱可塑性加工処理技術を含む各種の技術を使用して形成できる、前以て存在するポリマー領域に塗布され、そこで、治療薬は、ポリマー領域中に吸収される。]
[0128] デポー剤またはその一部を形成するための熱可塑性加工処理技術には、成型技術(例えば、射出成形、回転成形など)、押出し技術(例えば、押出し、共−押出し、多層押出しなど)および注型が含まれる。]
[0129] 各種実施形態による熱可塑性加工処理は、生体適合生ポリマー(群)および次のもの、すなわちグルココルチコイド、任意選択のさらなる治療薬(群)、X線造影剤(群)などの1種または複数を、1つまたは複数段階で混合または配合することを含む。生じた混合物を、次いで、成型して埋込み可能な薬物デポー剤とする。混合および成形操作は、このような目的のために当技術分野で周知のいずれかの通常的装置を使用して実施することができる。]
[0130] 熱可塑性加工処理中に、例えば、このような加工処理に付随する温度上昇および/または機械的剪断のため、治療薬(群)が分解する可能性が存在する。例えば、グルココルチコイドトロメタミンは、通常の熱可塑性加工処理条件下で著しい分解を受ける可能性がある。それゆえ、加工処理は、好ましくは、治療薬(群)の著しい分解を防止する、緩和された条件下で実施される。熱可塑性加工処理中の若干の分解は、不可避である可能性があると理解されるが、分解は、一般に10%以下に限定される。治療薬(群)の著しい分解を回避するために加工処理中に制御できる加工処理条件の中には、温度、印加剪断速度、印加剪断応力、治療薬を含む混合物の滞留時間、およびポリマー材料および治療薬(群)を混合する技術がある。]
[0131] 生体適合性ポリマーを治療薬(群)および任意のさらなる添加物と混合または配合して、それらの実質的に均一な混合物を形成することは、当技術分野で周知であって、かつポリマー材料を添加物と混合するのに通常的に使用される任意の装置を用いて実施できる。]
[0132] 熱可塑性材料を採用する場合、ポリマー溶融物は、各種添加物(例えば、治療薬(群)、不活性成分など)と混合して混合物を形成できる生体適合性ポリマーを加熱することによって形成することができる。それゆえ、通常の実施方法は、生体適合性ポリマー(群)と添加物(群)との混合物に機械的剪断を加えることである。生体適合性ポリマー(群)と添加物(群)とをこの様式で混合できる装置には、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、高速ミキサー、ロスケトル(ross kettle)などが含まれる。]
[0133] 生体適合性ポリマー(群)および各種添加物のいずれかを、所望であれば(数ある理由の中でも、例えば、治療薬の著しい分解を防止するために)、最終的な熱可塑性混合および成型工程に先立って、予備混合することができる。]
[0134] 例えば、各種実施形態において、生体適合性ポリマーは、存在するなら治療薬の著しい分解をもたらす温度および機械的剪断の条件下で、X線造影剤(例えば、放射線不透明化剤)と予備配合される。この予備配合された材料は、次いで、より低い温度および機械的剪断の条件下で、治療薬と混合され、生じた混合物は、グルココルチコイドを含有する薬物デポー剤に成形される。逆に、別の実施形態では、生体適合性ポリマーを、低められた温度および機械的剪断の条件下で治療薬と予備配合することができる。この予備配合された材料は、次いで、やはり低められた温度および機械的剪断の条件下で、例えば、放射線不透明化剤と混合され、生じた混合物は薬物デポー剤に成型される。]
[0135] 生体適合性ポリマー、治療薬、およびその他の添加物の混合を達成するのに使用される条件は、例えば、使用される具体的な生体適合性ポリマー(群)および添加物(群)、ならびに使用される混合装置の種類を含むいくつかの因子によって決まる。]
[0136] 例として、種々の生体適合性ポリマーは、典型的には、混合を促進するために種々の温度で軟化される。例えば、デポー剤を、PLGAまたはPLAポリマー、放射線不透明化剤(例えば、次炭酸ビスマス)、ならびに熱および/または機械的剪断で分解する傾向のある治療薬(例えば、グルココルチコイド)を含めて形成する場合には、各種実施形態において、PGLAまたはPLAを、放射線不透明化剤と、例えば約150℃〜170℃の温度で予備混合することができる。次いで、治療薬を、予備混合された組成物と合わせ、PGLAまたはPLA組成物にとって典型的であるよりも実質的により低い温度および機械的剪断の条件で、さらなる熱可塑性加工処理にかける。例えば、押出機を使用する場合、バレル温度、体積押出量は、典型的には、剪断を限定するように、したがって、治療薬(群)の著しい分解を防止するように制御される。例えば、治療薬および予備混合された組成物を、実質的により低い温度(例えば、100〜105℃)で二軸スクリュー押出機を使用し、かつ実質的に低減された体積押出量(例えば、一般に、200cc/分未満の体積押出量に相当する、最大能力の30%未満)を使用して混合/配合できる。この加工処理温度は、これらの温度またはそれを超える温度での加工処理が治療薬の著しい分解をもたらすので、グルココルチコイドの融点よりも十分に低いことに留意されたい。さらに、いくつかの実施形態において、加工処理温度は、治療薬を含め組成物内のすべての生物活性化合物の融点より低いことに留意されたい。配合した後、生じたデポー剤を、やはり低減された温度および剪断の条件下で所望の形状に成型する。]
[0137] 他の実施形態において、生分解性ポリマー(群)および1種または複数の治療薬は、非熱可塑性技術を使用して予備混合される。例えば、生体適合性ポリマーを、1種または複数の溶媒種を含む溶媒系中に溶解することができる。任意の所望される薬剤(例えば、放射線不透明化剤、治療薬、または放射線不透明化剤と治療薬の双方)を、溶媒系中に溶解または分散することもできる。次いで、溶媒を、生じた溶液/分散液から除去して、固体材料を形成する。生じた固体材料を、次いで所望なら、さらなる熱可塑性加工処理(例えば、押出し)のために顆粒化することができる。]
[0138] 別の例として、治療薬を溶媒系中に溶解または分散し、次いで、前以て存在する薬物デポー剤に塗布することができ(前以て存在する薬物デポー剤は、溶液および熱可塑性加工処置技術を含む各種の技術を使用して形成することができ、かつ、それは、放射線不透明化剤および/または増粘剤をはじめとする各種添加物を含むことができる)、ここで、該治療薬は、該薬物デポー剤の上または中に吸収される。次いで、所望なら上記のように、生じた固体材料を、さらなる加工処理のために顆粒化することができる。]
[0139] 典型的には、押出法を使用して、生体適合性ポリマー(群)、治療薬(群)および放射線不透明化剤を含有する薬物デポー剤を形成することができる。同一または異なる層または領域(例えば、即時および/または維持性の薬物放出を可能にする流体透過性を有する1種または複数のポリマーマトリックスまたは領域を含む構造)を備えた薬物デポー剤を製造するのに使用できる成型法である共押出しも採用できる。複数領域型デポー剤は、共射出または逐次射出成形技術などのその他の加工処理および成型技術によって形成することもできる。]
[0140] 各種実施形態において、熱可塑性加工処理から出てくることのできるデポー剤(例えば、リボン、ペレット、ストリップなど)は冷却される。冷却処理の例には、空冷、および/または冷却浴への浸漬が含まれる。若干の実施形態では、水浴を使用して押し出されたデポー剤を冷却する。しかし、グルココルチコイドなどの水溶性薬物を使用する場合、治療薬の浴中への不必要な損失を回避するために、浸漬時間を最小に保つべきである。]
[0141] 各種実施形態において、浴から出た後の、周囲空気または加温空気の噴射を使用することによる水または湿分の即時除去は、また、デポー剤表面での薬物の再結晶化を防止し、かくして、埋込みまたは挿入による高い薬物投与量「初期バースト」または「ボーラス投与」を、この放出プロフィールが望ましくないなら、制御または最小化する。]
[0142] 各種実施形態において、薬物デポー剤は、薬物をポリマーと混合、またはポリマーに噴霧すること、次いでデポー剤を所望の形状に成形することによって調製できる。各種実施形態において、グルココルチコイドを使用し、ポリマーと混合、またはポリマーに噴霧され、生じたデポー剤を押出しによって形成し、乾燥することができる。]
[0143] これまで本発明を一般的に説明してきたが、以下の実施例に対する以下の言及を通して同様のことをより容易に理解できるであろう。該実施例は、例示として提供され、特記しない限り、本発明を限定するとは解釈されない。
実施例]
[0144] 目的:NP吸収に対するフルオシノロン溶出性PLAポリマーペレットの効果を判定すること
要約:15匹のドナーである雌性スプレーグドーリーラットの尾骨(尾部)椎間板から、髄核を採取し、15匹のレシピエントである雌性スプレーグドーリーラットの腹部皮下腔中に移植した。各ドナーラットの8つの尾骨椎間板からのNPを一緒にして、移植のために1つの集合体とした(レシピエント毎に1つのNP集合体)。15匹のレシピエントを、3群にランダムに分割した。1つの群は、NP移植と同じ皮下ポケット中に0.88wt%のフルオシノロンペレット(100DL PLA5E中に10wt%のPEG1500を含む、長さ2.0mm×直径0.5mm)を受け入れた。第2群は、NPを納めたポケットから1.5cm(端から端まで)の別の皮下ポケット中に同一仕様のフルオシノロン(Flu)ペレットを受け入れた。最後の群は、NPを納めたポケットから1.5cmの別の皮下ポケット中に対照のPLAペレットを受け入れた。この研究で使用されるFluペレットは、インビトロでのデータによれば、およそ0.01μg/日のフルオシノロンを溶出すると予想される。NPおよびペレットを外科的に配置しておよそ72時間後に、動物を、CO2窒息によって人道的に安楽死させ、NP吸収を評価するため、3群の各群に属する4匹の動物からNPを外植した。組織学的分析のために、3群の各群に属する1匹の動物をランダムに選択した。末端点に残存する異所性NPの質量%を、吸収率の指標として利用した。]
[0145] 結果および結論:見かけのNP吸収率は、フルオシノロンペレットを受け入れた動物でより高い傾向があった。この発見は、本発明者らの事前研究仮説(すなわち、フルオシノロンはNP吸収を阻止する可能性がある)に反していた。3日目に残存している異所性NPのパーセントは、FluペレットをNPと同一ポケット中に配置した群で20.78±5.25%、FluペレットをNPから1.5cm離して配置した群で32.38±5.71%、対照ペレット群で40.00±5.33%であった。各群の動物数は、決定的な結論を引き出すにはあまりにも小さいが、対照群と同一ポケットFlu群との間で理論的比較がなされた。これら2つの群間の差異は、孤立状態で比較すると、統計的有意に到達した(p=0.04)。総合的な組織学的所見は、炎症に関するフルオシノロンの周知の効果と矛盾していない。すなわち、同一ポケットFlu群から組織学的検討に供された動物は、対照ペレット群と比較して、低減された炎症応答を有した。この評価には、炎症性偽性カプセル(pseudocapsule)の大きさ、およびこのカプセルの内部またはカプセルに隣接した非マクロファージ炎症細胞の数が含まれる。Fluペレットを別のポケット中に配置した群は、中間の炎症応答を有した。しかし、残存NP中のマクロファージ数は、Fluペレットを受け入れた動物で高められるように見えた(FluペレットをNPと同一ポケット中に受け入れた動物でよりそうであった)。この奇妙な発見は、マクロファージ活性が、Fluペレットを受け入れた動物で増大したNP吸収率の原因である可能性があることを示唆している。しかし、総合的炎症応答とマクロファージ活性との間の逆の関係は、利用可能なデータで説明できない。また、NPポケットの反対側に1.5cmのポケットの切片について、組織学的に検討した。これらの二次性ポケットでの組織学的所見は、正常な創傷治癒と矛盾せず、Fluペレットまたは対照ペレットよって影響されるようには見えなかった(偽似切開と比較した場合)。フルオシノロンは、いずれの動物の血漿中でも検出できなかった(LLD0.05ng/mL)。
(実施例1の詳細)
フルオシノロンは、抗炎症特性を有するコルチコステロイドであり、この研究では、椎間板ヘルニアの治癒におけるフルオシノロンの役割を理解することを最終的目標としてこれらの特性を探究することを意図した。椎間板ヘルニアの後の、隔離されたヘルニア化髄核の自然病歴は、3〜6カ月間の経過にわたって部分的または完全に吸収することである。フルオシノロンは、この吸収過程の原因であると考えられる免疫炎症応答を混乱させることによってNP(髄核)の吸収を低減する可能性があるという仮説が立てられた。最近の研究では、フルオシノロンを放出する皮下ペレット埋込物のNP吸収率に対する効果を(対照ペレットと比較して)評価した。この効果は、1)移植の3日後に回収されるNPの重量、および2)動物の下位集団における両ポケットの周辺組織の組織病理学的評価を使用するパイロット研究中で評価された。NPを、ドナーラットの8つの尾部椎間板から取り出し、レシピエントラットの皮下ポケット中に移植した。治療群には、フルオシノロンの浸透度を評価するために、NPと同じポケットにまたは遠い(1.5cm離れた)ポケットにフルオシノロン放出性ペレットを埋め込んだ動物を含めた。1つの群には対照ペレットを埋め込んだ。ペレットは、剖検の時点で回収した。ペレットは、72時間の過程にわたって安定であると予想された。それらのペレットは、数カ月間耐久性があり、4〜6カ月後に崩壊するように設計された。この研究からの結果は、フルオシノロンペレットが同一ポケット中にNPと一緒に存在すると、埋込みの3日後に吸収の増大に向かう傾向があることを示した。対照的に、対照ペレットが、NPポケットから1.5cmに配置された別のポケット中に存在すると、吸収は低下した。遠いポケット中にフルオシノロンペレットを有する動物群は、3日後に残存するNPの%に関して中間的な結果を示した。組織学的所見は、これらの結果と相関していると思われ、フルオシノロンが同一ポケット中に一緒に存在すると、NPを取り囲む最少量の炎症性浸潤物を、対照ペレットを埋め込まれた動物では、最大量の炎症応答を伴った。
実験手順
動物
この研究には全部で最大34匹の雌性スプレーグドーリーラットを含めた。30匹の動物は研究に、4匹のラットは、予備としての要求を満たすのに利用した。ラットは、特定の病原体を持たず、飼育器で到着した日におよそ200gであった。
受入れ、健康評価および順化
受入れに際して、ラットを取り出し、ケージに入れた。各動物に関して、姿勢および動作の異常徴候について外被、四肢、および開口の評価部を含めて目視健康検査を実施した。どのラットも、異常は見出されなかった。ラットを、手術を始めるに先立っておよそ1週間順化した。
環境
ラットは、透明なポリカーボネートプラスチック製ケージ内の飼育器中に収容した。寝具材料は、動物に乾燥寝具を提供するのに必要とされる頻度で交換される照射済のトウモロコシ穂軸寝具(Enrich−O−Cob、The Andersons社、Maumee、オハイオ州)とした。研究記録には、ラットを研究期間の初めから終わりまで収容する部屋番号を詳記した。部屋には、HEPAで濾過された空気を供給した。部屋は、12時間の明/暗サイクルとした(明るい時間は、およそ6:00〜18:00である)。
食餌および水
動物は、ペレット食(Certified Pico)へ自由に接近した。製造業者は、食餌の各バッチについて、特定重金属、アフラトキシン、有機リン酸エステル、および特定栄養素のレベルおよび/または濃度を詳細に記載した分析証明書を提供した。分析証明書(CA)を、保存した。]
[0146] 研究期間の初めから終わりまで、動物は、脱イオン水を自由に利用できた。水の分析は、年に2回実施し、重金属および溶解無機物の分析を含めた、水の分析に関するCAは、保存し続けた。]
[0147] 食物または水中に、この研究の目的または運営を妨害する既知成分は存在しなかった。
ケージおよび動物の識別
連続的に番号を付けた耳タグに対応する識別番号を、各動物に割り当てた。動物の治療群への割付に先立って、ケージを、次の情報、すなわち、研究番号、種/系統、性別、ケージ番号および耳タグ番号を付したラベルで識別した。治療群に割り付けた後、ケージの識別は変更しなかった。
群の治療
15匹のレシピエントを、無作為に3つの群に分割した(表1参照)。1つの群(n=5)は、他の群の条件に合わせるために、1.5cm横に配置された追加の切開およびトンネルを作ったが、NPを配置したのと同じ皮下ポケット中にフルオシノロン溶出性の100DL5Eペレット(FLU)を受け入れた(FLU−0cm)。100DL5Eペレットは、インビボで60日間を超えて安定であるように設計された長さ1mm×直径0.7mmの円筒であった。第2群(n=5)は、NPを配置したポケットに対して1.5cm横(動物の左に向かって)の別の皮下ポケット中にFLUを受け入れた(FLU−1cm)。最後の群は、NPを配置したポケットに対して1.5cm横(左)の皮下ポケット中に対照ペレットを受け入れた(対照)。対象100DL5Eペレットは、フルオシノロンまたは任意の活性医薬を溶出しなかった。]
[0148] ]
[0149] 体重および臨床観察
手術に先立って体重を測定した。加えて、動物を、病気/健康の徴候について規則的に観察した。
NPドナーラットの手術
NP採取のためのラットは、致死量のCO2で人道的に屠殺した。ドナーラットから尾部を取り出し、各椎間板からNPを抜き取った。1匹のドナーラットからの全部で8つの椎間板からNPを取り出し、1つの移植のため一緒に合わせて、重量を測定した。一緒合わせたNPは、湿った環境(生理食塩水に浸漬したガーゼ)に保持して乾燥を防止した。
NPレシピエントラットの手術
ドナーラットからNPを採取したら、レシピエントラットをイソフルラン麻酔下に置いた。長さがおよそ2cmの小さな切開を、レシピエントラットの軸正中線に近く、矢状正中線の左に約1.5cmの腹部皮内に設け、止血鉗子で皮下トンネルを作った。NPをSCポケット中に配置した。切開部位を、ビクリル(vicryl)4−O縫合糸を用い連続縫合で縫い合わせた。すべての群において、類似の第2切開を、ラットの右側、第1ポケットの反対側に設けた。このポケット中に、フルオシノロンペレット(群2)または対照ペレット(群3)を配置し、あるいはなにも配置しなかった(群1)。各埋込み部位を皮膚入れ墨でマークした。ポケットへのトンネルは、ポケットの縁端が互いから約1.5cmである並行路とした。
終末血液の採取
心穿刺によりすべての動物から血液検体(少なくとも1.5mL)を得た。採取に先立って、動物をイソフルランで麻酔した。血液検体を、K2EDTAチューブ中に採取し、直ちに氷水上に置いた。血液検体を採取から1時間以内に遠心し、血漿(少なくとも500μL)を取り出し、分析のために後に挙げる検査機関にドライアイスで発送するまで、−20℃のフリーザー中に貯蔵した。13検体の検体発送は、採取から7営業日以内に行なった(2検体は、凝固したので除外した)。
安楽死
NP移植の3日後に、動物を、CO2窒息によって人道的に安楽死させた。
NP回収
1群につき4匹の動物からNPを採取し(n=12)、重量を測定した。簡潔には、NPを配置した手術部位をマークしている入れ墨を識別した。上に重なった皮膚を開き、任意の残存NPを曝露した。NPを取り出し、秤量ボート中に直接載せた。NPと共に同一ポケット中に入れたペレットが存在するなら、重量を測定する前にペレットを除去した。
組織学のための組織採取
組織学的評価のために、治療群(n=3)につき無作為に選択された1匹の動物から、埋込物およびNPを取り囲んでいる組織を採取した。埋込み部位および埋込み部位を取り囲むおよそ1cmの組織の双方を含む組織領域(体壁、皮下組織および皮膚)を1つの検体として採取した。検体を、平坦表面上に載せ、次いで、安楽死の15分以内に10%中性緩衝化ホルマリン中に浸漬して、固定を可能にした。
組織学
固定したら、組織検体を、処理群に応じて、隣接の埋込物または偽埋込物の部位を通る単一断面を、およびNPまたはNP+埋込物の部位を通る3つの切片(断面(4〜5mm)、および2つの側断面)を得るような方式で形を整えた。組織を処理し、パラフィンで包埋し、切片化し、H&Eで染色した。獣医病理学者が、スライドを読み取り、炎症応答および残留NPの程度を評価した。
結果
移植したおよびポケットから取り出したNPの重量を表2に示す。残存NPのパーセントは、各動物について計算し、各治療群について平均した。これらのデータを、図3にグラフで表し、統計解析(1元ANOVA)を計算した。フルオシノロンは、3日後にポケット中に残存しているNP量の減少をもたらすことができることを示す傾向があるように思われた。移植NP量と回収NPの比率との間の関係を評価する相関分析は、逆関係の傾向があることを示しているように思われた(ピアソンのr=0.48)。外科医からの記録は、ほとんどすべての動物にとって、NPの粘稠度は、取り出すと移植時よりも大きかったことを示していた。
考察
この研究からの結果は、フルオシノロンペレットが同一ポケット中にNPと一緒に存在すると、移植の3日後に吸収の増大に向かう傾向があることを示した。対照的に、対照ペレットが、NPポケットから1.5cmに配置された別のポケット中に存在すると、吸収が低下した。離れたポケット中にフルオシノロンペレットをもつ動物群は、3日後に残存しているNPの%に関して中間的結果を示した。組織学的所見は、これらの結果と相関していると思われ、フルオシノロンが同一ポケット中に一緒に存在すると、NPを取り囲む最少量の炎症性浸潤物を、対照ペレットを埋め込まれた動物では、最大量の炎症応答を伴った。] 図3
权利要求:

請求項1
そのような治療を必要とする患者における椎間板ヘルニアの治療方法であって、治療有効量のグルココルチコイドを含有する1種または複数の生分解性薬物デポー剤を椎間板ヘルニアまたはその近傍に投与するステップを含み、該1種または複数の生分解性薬物デポー剤が有効量のグルココルチコイドを少なくとも3日間から6カ月間にわたって放出する能力がある方法。
請求項2
1種または複数の薬物デポー剤が、該1種または複数の薬物デポー剤をヘルニアの5cm以内に埋め込んだ場合に、髄核の吸収を高めることによってヘルニアの大きさを少なくとも20%縮小する、請求項1に記載の方法。
請求項3
1種または複数の薬物デポー剤が、髄核の吸収を高めることによってヘルニアの大きさを少なくとも50%縮小する、請求項1に記載の方法。
請求項4
グルココルチコイドが、フルオシノロンまたはデキサメタゾンを含む、請求項1に記載の方法。
請求項5
1種または複数の薬物デポー剤が、少なくとも3日間から6週間にわたって有効量のフルオシノロンまたはデキサメタゾンを放出する、請求項4に記載の方法。
請求項6
1種または複数の薬物デポー剤が、少なくとも1週間から6週間にわたって、24時間毎に0.002μgから0.02μgのフルオシノロンを放出する、請求項5に記載の方法。
請求項7
1種または複数の薬物デポー剤が、該薬物デポー剤の総重量を基準にして、約0.5重量%から約40重量%の量のグルココルチコイドを添加されている、請求項1に記載の方法。
請求項8
1種または複数の薬物デポー剤が、手術の前に、間に、または後に、椎間板ヘルニアに投与される、請求項1に記載の方法。
請求項9
バリアが、1種または複数の薬物デポー剤を投与する前に、投与後に、または投与と同時に、椎間板ヘルニアまたはその近傍に投与される、請求項1に記載の方法。
請求項10
グルココルチコイドが、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩、あるいはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
請求項11
グルココルチコイドが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ブデソニド、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルオコルトロン、クロプレドノール、デフラザコルト、トリアムシノロン、またはこれらの薬学的に許容される塩、あるいはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
請求項12
薬物デポー剤が、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−カプロラクトン、D,L−ラクチド−グリコリド−カプロラクトン、またはこれらの組合せを含むポリマーを含有する、請求項1に記載の方法。
請求項13
そのような治療を必要とする患者における椎間板ヘルニアを治療するのに有用である埋込み可能な薬物デポー剤であって、該埋込み可能な薬物デポー剤が治療有効量のグルココルチコイドを含有し、該デポー剤が椎間板ヘルニアまたはその近傍に埋込み可能であり、該薬物デポー剤が、約0.5重量%から約40重量%のグルココルチコイドを添加され、かつ少なくとも3日間から8週間にわたって有効量のグルココルチコイドを放出する能力がある、埋込み可能な薬物デポー剤。
請求項14
薬物デポー剤が、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩、あるいはそれらの組合せを含有する、請求項16に記載の埋込み可能な薬物デポー剤。
請求項15
患者における椎間板ヘルニアの大きさを縮小する方法であって、フルオシノロンを含有する1種または複数の生分解性薬物デポー剤を椎間板ヘルニアまたはその近傍に投与することを含み、該1種または複数の生分解性薬物デポー剤が、フルオシノロンを少なくとも3日間から2カ月間わたって放出して椎間板ヘルニアの大きさを少なくとも50%縮小する能力がある方法。
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